Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。

前回の補足

こんばんは。ほあしです。

前回の記事について、簡単な補足をしておきます。

伏線その1 ~黒崎兄妹の名前~ - Black and White

 

この記事の議論において、筆者が提示するべき論拠および前提知識に若干の不足があったと判断したためです。

 

その"不足"とは、以下の三点です。

 

  1. 滅却師(クインシー)』という単語のアルファベットによる綴りが"quincy"である、ということの根拠
  2. そもそも『完現術者』ってなによ?という説明
  3. 夏梨が『完現術者(フルブリンガー)』の資質を持っている、という判断の根拠となる作中の描写

 

正直、これらはすべて「単行本を読めば分かるので、買うなり借りるなりして読んでください」と言ってしまうことも出来るんですが、『BLEACH』という作品は破面篇の半ばあたりで多くの読者が一度脱落したため、それ以降に登場したキャラクターや設定についての知名度がやや低いという現実があります。

そして『完現術者』という設定は、破面篇の完結後に登場したものです。

本ブログは「『BLEACH』に与えられた不当に低い評価を覆す」という目標を掲げているので、「『BLEACH』を低く評価している(それゆえに一度脱落してしまった)読者」への最低限のフォローは行なった方がよかろうと判断した次第です。

 

本ブログを読んで「一度離れちゃったけど、もう一回読んでみようかな」と思ってもらえれば幸いに存じます。

 

では、補足を始めます。

 

1.なぜ『滅却師』が"quincy"だと言えるのか

こちらの画像をご覧ください。

 

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BLEACH』4巻の表紙です。

4という数字の下に”QUINCY ARCHER HATES YOU”という文章があります。

この文章は、この単行本に収録されている、『BLEACH』第34話のタイトルと同じものです。

滅却師の生き残りである石田雨竜少年が一護に語った「僕は死神を憎む」という言葉を、第三者から一護へ語りかける形の文章にしたものです。

”quincy”という綴りは筆者の憶測などではなく、作品の中ではっきりと明示されたものである、ということがご理解いただけるかと思います。

 

2.『完現術者』とはなにか

作中の言葉をもとに、簡潔に説明します。

『完現術者』とは、「生まれつき、ある特殊な能力をもって生まれた人間」である。

その特殊な能力とは、「”物質”に宿る”魂”を引き出して使役する能力」である。

この世界のありとあらゆる物には魂が在る。

動物や草木だけでなく、電柱や椅子やグラスも魂を持っている。

物の魂には、元来、使い手を助ける力が備わっており、『完現術者』はそれを引き出し、自分の魂でブーストをかけて大きな力にすることが出来る。

そして、自分に相性の良い使い慣れた道具なら、その「形」そのものを変えることも出来る。

また、『完現術者』は、「産まれる前に親が虚に襲われている」という特徴がある。

襲われた母体には虚の力の痕跡が残り、そうして産まれた『完現術者』の能力は、死神よりも虚の力に近い。

(『BLEACH』49巻所収432話、および同50巻所収433話より、筆者による抜粋)

 

『完現術者』の概要については、ひとまずこれだけ押さえておけば問題ないものと思います。

 

3.なぜ夏梨が『完現術者』の資質を持っていると言えるのか

これも、まずは以下の画像をご覧ください。

 

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これは、2003年9月に発売された「週刊少年ジャンプ増刊 赤マルジャンプ」に掲載され、『BLEACH』10巻の巻末に収録された番外編「カラクラスーパーヒーローズ」の一部です。

一護たちがルキア救出のために尸魂界へ旅立ったあと、現世に残された人々が何をしていたかをギャグテイストで描いた短編です。

この短編の中で夏梨は、虚に向けてサッカーボールを蹴り飛ばし、虚を吹き飛ばしています。

 

先ほど説明した『完現術者』の戦い方に符合する部分が大きいように見えないでしょうか。

 

ちなみに、夏梨が日頃からサッカーに興じているらしい(=サッカーボールと比較的"相性が良い"?)という描写が、単行本5巻所収の38話および39話にあります。

また、「通常の人間が道具を使って霊的な存在と戦う」という描写は、基本的にこの短編以外には見当たりません。強いて挙げるとすれば、一護の友人である小島水色少年が、空座町へ襲来した藍染惣右介に向けて火炎瓶を投擲したシーンくらいでしょうか。

 

いずれにせよ、夏梨の蹴ったサッカーボールが、虚にある程度の負傷を与えるくらいの威力を有しているらしいことはこの短編から読み取れます。

ここから一歩進んで、「何らかの特殊な能力によってボールの勢いや破壊力が底上げされているのではないか」と考えることは、それほど無理な話ではないように思います。

なぜなら虚というのは、第1話の一護が身を以て示したように、金属バットを拳の一撃でへし折るくらいには頑強な存在だからです(『BLEACH』1巻 36~37頁)。

小学5年生女子がそういう存在に対処できるとすれば、それは何らかの底上げが為されているからだ、という推論は成り立ちうるでしょう。

 

以上が、「夏梨が『完現術者』の資質を持っている」という判断の根拠です。

 

まとめ

前回記事の補足は以上になります。

このブログ、公開前の段階で筆者が想像していた以上にたくさんの方々に読んで頂けているようで、大変うれしく思っております。

一人でも多くの方に『BLEACH』の面白さを見直してもらえるよう、不定期ながら更新を続けていくつもりです。

 

今後ともよろしくお付き合いくださいませ。

それでは。