『週刊少年ジャンプ』2017年8号の感想
こんばんは。ほあしです。
今週のジャンプの感想です。
◆『僕のヒーローアカデミア』No.123「無敵」
ビッグ3のキャラ見せ回って感じでしょうか。紅一点の波動ねじれちゃんがやはり可愛くてグッド。「めっちゃキレーな人」と言われてますから、作中世界の基準で見ても彼女は相当な美形にあたるようです。天然というか「興味関心の対象が瞬く間に移り変わっていく」というキャラっぽいですね。それこそ幼稚園児のような可愛らしさがあります。推していきたい。
さて、通形ミリオくんは、インターンの説明をするにあたって実戦形式を提案していますが、果たして必要なんですかねこれ。下手をするとミリオくんが結構嫌味な見え方になってしまうような気もするんですが。「力ある上級生による新人潰し」みたいな。天喰くんもそういう懸念を持っているようです。相澤先生は最終的にわりと乗り気になってるっぽいですが、とりあえず早くインターンの詳細を言葉で説明してほしいという気持ちが個人的には強いです。あと相澤先生はミリオくんのことを「俺の知る限り、プロも含めて最もNo.1に近い男」と評していますが、あまりにもエンデヴァーの立つ瀬がなさすぎてちょっと笑ってしまいました。オールマイトが退場したあとの新しい「目標」としてミリオくんを配置したいのかなという気はしますが、ちょっと強引に見えなくもないなと。
あと、ミリオくんの個性についてですが、パッと見ではかなり強そうですね。今回見えたものだけでも「物理的すり抜け」および「ワープ」という使い方ができるようですから、それこそ「無敵」に見えます。個人的な予想ですが、「自分の肉体の"存在確率"を変える」みたいな量子力学ネタの個性なら、すり抜けとワープの両立が可能なんじゃないかなと思います。存在確率を0にすることで敵の攻撃をすり抜けて、自分が今立っているのとは違う場所での存在確率を1にすることでワープする、といった具合です。頭部の存在確率のみを改変すれば、先週のようなかたちでデクの前に「顔を出す」こともできそうですし。ただ、こういう解釈だと、カタログスペックの時点であまりにも強すぎるんですよね。誇張でも何でもなく完全に無敵です。天喰くんはミリオくんの個性について「決して羨まれるものじゃない」「ひがむべきはその技術だ」と言っている(いわゆる「個性自体は凡庸だけど使い方が上手い」タイプっぽい)ので、そことの整合性が取れなくなります。それに、存在確率密度がどうたら波動関数がこうたらシュレディンガーがなんたら量子もつれがかんたらという方向性としては、それこそすぐ隣にいる「波動ねじれ」ちゃんのほうがずっとそれっぽい名前なんですよね。ヒロアカはキャラの名前と個性とが密接に結びついているのでこういうチグハグはまず起こさないだろうというところもあり、ミリオくんの個性については現状かなり謎やなという感じです。まあ種明かしを待ちましょう。
アツいですね。ドラマとしてのアツさがバトル文脈でのメタの取り方にそのまま繋がっているのが非常にアツいです。火ノ丸はダチ高においては圧倒的に高い目標と孤高の強さを持っていますが、その事実自体が「弱さ」になっているというのが以前天王寺に敗れたときに指摘されたことでした。「全然楽しそうじゃない」「もっと笑え」というやつですね。しかし今の火ノ丸は「自分は独りで戦っているのではない」ということに気づき、「たとえ土俵の上に独りで戦っているときでも仲間が自分に力を貸してくれる」という境地に至っています。それが実際の戦い方としては「仲間の必殺技や戦術を借りる」というかたちになって表れているわけで、こういう流れ自体は少年マンガとしては大変良くあるやつなんですが、面白いのは、「仲間の戦術を借りる」という行為自体が、天王寺の「徹底的な個人研究」への対抗手段になっていることなんですよね。ふわっとした「仲間の絆パワー」に基づいた戦い方が実際の戦術レベルで有効になっているという。しかもそれをやっているのがこれまで孤高であり続けた火ノ丸であるというのが最高にアツいです。お題目だけでなく心底から仲間の強さを認めていなければ、この大一番でこんな戦い方はできません。火ノ丸と仲間たちの絆がこれ以上無いほどはっきりと示された名勝負だなと思います。まあまだ決着もついてませんが。最高です。
◆『ハイキュー!!』第238話「攻防」
特に大きな動きはなく、タイトル通りにセットポイント間際の攻防戦が描かれました。強いて言うなら両チームのピンチサーバーに焦点が当たっているでしょうか。木下は緊張もあって結果的にはミスになってしまったものの戦意は全く失っておらず、明らかに「次」を見据えていることが分かります。ミスをしてもあまり過剰に落ち込みすぎないというのは個人的にも好みです。それに対して椿原の姫川くん、サーブ打つのが早いかゲロ吐くのが早いかみたいな表情してますね。相手のセットポイントで投入されるということはサーブ能力に関してそれなり以上に信頼がある選手なのだと思いますが、どういう流れになるのか楽しみです。
◆『鬼滅の刃』第46話「お館様」
泣きました。これは冨岡さんあまりにも格好良すぎます。竈門兄妹のことを見守ってくれているのは分かっていましたが、まさか文字通り命懸けで庇ってくれていたとは思いませんでした。そら炭治郎も涙がこぼれますよね。冨岡さんが鱗滝さんと連名でお館様にお願いをしているのは師弟関係という繋がりもあってのことだとは思いますが、それでも、炭治郎と禰豆子のことを強く信じていなければ「腹を切る」とまでは言えませんよね。本当にシビレました。
柱の面々(というか主に不死川さんですが)、丁寧な口を利くことも普通にできるんですね。この描写のおかげで一気に人間味が見えてきたというか、「彼らも一応普通に社会生活を送れる人間ではあるんだな」と感じられました。あまりにも個性的すぎてキャラ立ちとしては素晴らしいけど社会性皆無の人格破綻者にしか見えないという感じも少しあったんですが、あ、ちゃんと人間なんだなと。
あと、初めて顔を見せたお館様ですが、顔の上半分がちょっとした異形になっていて、おそらくは目も見えていないようですね。鬼殺隊のリーダーにしては彼は意外すぎるくらい鬼に対して寛大に見えますが、そのあたりにも何か事情などあるのでしょうか。彼の異形や盲目の原因が鬼との戦いにあるのだと仮定すると、本当に異様なほどの寛大さだと思います。まあ炭治郎たちへのお目こぼしには「鬼舞辻に繋がる手がかりとして期待している」という理由もあるわけですから、単なる寛大さゆえというわけでもないとは思いますが。
不死川さんが自分の血を使って禰豆子の「人喰い」を証明しようとしていますが、絶対に失敗してほしいですね。いやまあ間違いなく禰豆子が強靭な精神力を発揮して失敗に終わらせてくれるだろうと思っていますが。でなければ鱗滝さんや冨岡さんの立場も無くなるわけですし。
◆『左門くんはサモナー』第65話「左門くんはアンリさんが好き」
スキー回後編。タイトルからして引き続き左門くん✕アンリの掘り下げかと思いきや、むしろてっしーと左門くんの関係性にウェイトがあったように思います。面と向かって「好き」と言われる関係と、「嫌い」と言われる関係との対比ですね。「大嫌いだよ」「知ってる」のやりとりは本作序盤における最大級の名場面、激エモ関係性核弾頭だと個人的に思ってるんですが、こういった関係についててっしーが自己言及するのはたしか初めてでしたよね。まあ考えてみれば当たり前の話で、べつに左門くんに対して恋愛感情は抱いていないにしても、友人としての親愛の情は当然てっしーも持っているはずであって、つまり多少ねじくれた関係だとしても友人ではあると思っている相手から面と向かって「嫌いだ」と言われるのは、やはりそれなりに悲しいものがあるんだなというアレですね。しかも左門くんの場合は安直なツンデレキャラみたいな甘っちょろいことではなく、ほぼ確実に心底から「嫌いだ」と思っているわけですし。
アンリが自分に対抗心や嫉妬心を燃やしてくる気持ちをてっしーはもちろん分かる一方で、しかし実際の自分の立場としては結構悲しいものはあるんだよ、という告白でした。まあアンリにとしてはまさにその「面と向かって"好き"と言われていない」という事実そのものを羨んでいるわけですから、結局は二人ともないものねだりみたいなアレではあるんですが。
あとギャグ面ではババ抜きでの左門くんの一人相撲が面白かったです。こういう、自分で燃料投下して勝手に燃え始める全自動逆ギレマンみたいなネタが好きなんですよね。
今週の感想は以上です。
ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。
それでは。