Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。

『BLEACH』第638話「悪意沸沸滑稽ノ極ミ」の感想・考察

こんばんは。ほあしです。

今週のBLEACHの感想です。

 

BLEACH』第638話「悪意沸沸滑稽ノ極ミ」

 今週はほぼ完全に戦闘行為のみでしたね。今後しばらくはこういう回が増えていくのだろうと思われます。

 ペルニダの名乗りに対して命名権がどうのという話をし始めるあたり、涅はやはり研究行為にしか興味がないのですね。読者としては、「なぜ霊王の左腕が”ペルニダ・パルンカジャス”などという名を名乗ってユーハバッハに付き従っているのか」という辺りの疑問に是非とも踏み込んでもらいたいものですが、まあそのうちに何らかのかたちで明らかになることでしょうから、気長に待ちましょう。

 涅の言葉に対して「……イッテル…イミ………ワカラナイ………」と返しているコマのペルニダ、すごくかわいくないですか。「クルクル」という擬音の書き文字から判断するに、おそらくは手首をくるくる回して「考え中」みたいな意思表示をしているのだと思われますが、なにか小動物的な愛らしさを感じてしまいます。

 「無機物にも神経を通す事ができる」というのはなかなか驚くべきことではありますが、そもそも周囲の霊子構造物にも問答無用で干渉できるのが滅却師能力ですから、それを思えば特に無理な芸当でもないのかなと思います。ペルニダは初登場時、生き物なのかどうかよく分からない「神兵」に対しても『強制執行』を使えていましたし。

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久保帯人BLEACH』15巻31,32頁)

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久保帯人BLEACH』56巻65頁)

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久保帯人BLEACH』66巻148頁)

 

 今週のタイトルは「悪意沸沸滑稽ノ極ミ」です。第616話「ミミハギ様」以来、久しぶりの日本語タイトルですね。涅は自分の興味の赴くまま、研究行為のためならどんな悪徳をも肯定し、倫理の精神をあざ笑うかのような振舞いをしばしば見せます。そうした涅の為人を端的に表現したタイトルなのだと思います。扉絵に描かれた涅のありさまは、まさに彼の邪悪さそのものと言えるでしょう。

 

 ペルニダの攻撃を回避した涅は、左手首を射出して尖塔を上ろうとします。このマジックハンド的な仕掛けは、〈尸魂界篇〉のvs雨竜戦でも披露していましたね。腕の肉の裂け方が以前のものと少し変わっていますから、彼自身の肉体改造にも改良が加えられているのでしょう。

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久保帯人BLEACH』14巻157頁)

 また、ペルニダの神経が張り巡らされた地表に触れるのを避けるため、涅は自らの靴に仕掛けてあったギミックを用いて、滅却師の高等歩法「飛簾脚」を使用します。おそらくスイッチ一つで起動できる、というか、あの靴に施しているであろうなにか外的な手助けがなければ、涅は飛簾脚を使用できないのではないかと思います。というのも、飛簾脚の発動原理は「足下に作った霊子の流れに乗って高速移動する」というものであり、つまり基本的な滅却師能力である「周囲の霊子をコントロールする」という行為を前提にしているからです。涅が死神である以上、彼が独力でこの能力を獲得したとは考えにくいと思います。死神が空中を移動する時は「自分自身の霊圧を放出して足場として固める」という方法を採っているようですから、飛簾脚とはかなり勝手の異なる技術のようですし。

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久保帯人BLEACH』14巻170頁)

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久保帯人BLEACH』27巻152頁)

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久保帯人BLEACH』44巻91~93頁)

 涅は、「飛簾脚」という技術の名称そのものにも言及していますね。石田宗弦・雨竜師弟がこの名を用いていたと涅は言っています。やはり、石田宗弦が雨竜に手ほどきした滅却師技術は、少なくとも『見えざる帝国』の滅却師らが用いているものとは少し毛色の異なる独自の研究の賜物なのかもしれませんね。ユーハバッハが雨竜に「私の力を超える何かがある」と言ったのも、やはりこの辺りに秘密があるのではなかろうかと勘繰ってしまいます。ごく個人的には、この局面で石田宗弦の名前が再び登場したという事実に大変ワクワクしています。

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 涅は、グロテスクすぎるヒモ状の爆弾によってペルニダの「小指」を採取しています。ヒモが巻き付いた瞬間のペルニダのお目目がものすごくかわいいです。ここで涅が押している爆弾のスイッチもまた、〈尸魂界篇〉で使用していたものとおそらく同じものですね。遠隔爆弾のスイッチはこれと決まっているのでしょう。まあスイッチ自体のデザインにそれほど改良する部分があるとも思えませんしね。

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久保帯人BLEACH』14巻142頁)

 

 腕から離れた小指にも霊王の「眼」が現れ、ペルニダ本体と同じように涅を攻撃していますね。そもそも腕が独り歩きしているのですから指だけで動けたとしてもそこまで驚くほどのことではないですが、ここまで細切れにしてもまだ倒せないというのは少し絶望的な気分になってきます。涅本人は大変楽しそうにしていますが、これを倒せる算段はあるんでしょうかね。

 ペルニダの神経による攻撃に対し、涅は自分自身の腕の神経・血管・筋肉を組み変えるという荒業に出ました。この目にも止まらぬ縫合技術は修多羅千手丸を想起させられるところがありますが、何か関連があったりするんでしょうかね。千手丸の縫合技術はあくまでも衣服の仕立に関するものとして描かれていますが、涅とは昔から縁があったようですし、気になるところです。

 あと、ずっと着っぱなしだったピカピカ光る服を脱ぎ去ったことで、涅のメイク及び髪型の全体像が明らかになりましたが、めちゃくちゃカッコいいですね。シルエットとしては今までで最もシンプルなかたちになっているように思いますが、髪型まで含めて縦の線の流れを強調したスマートな印象を与えるデザインになっていて非常にカッコいいです。生身以外の部品が取り付けられているのは耳の部分だけ、それ以外はメイクと髪型の産物だというのにここまで異質でカッコいいのは本当にすごいことだと思います。

 

 今週の感想は以上です。

 ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

 それでは。