Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。

『BURN THE WITCH』第2話「Ghillie Suit」の感想

どうも、ほあしです。

『BURN THE WITCH』第2話、やっていきましょう。

 

第2話のタイトルは「Ghillie Suit」。軍事作戦に用いられる迷彩装備のことですね。戦闘が行なわれる環境に応じて作られるもので、うまく作られた場合は装備した者の姿をきわめて効果的に隠蔽します。おそらく、メイシーが従えているドラゴン「エリー」が姿を隠しているところから銘打たれたタイトルでしょう。

 

カラー扉絵、めちゃくちゃ可愛い! ふたりとも食べ方がかなり豪快です。食べ方がというか切り方が大きいだけか。ていうかメイシーが見たら憤死しそうな距離感ですね。女と女の距離がナチュラルに近すぎると嬉しい。今週の目次コメントいわく、今回の短期集中連載ではすべての回にカラー扉絵があるそうです。最高や…。

 

さて本編。CD2のゴシップを取り上げる番組の"質感"がヤバいですね。番組や放送局のロゴなど非常に芸が細かいです。この辺のデザインは久保先生も楽しんでやってそうな気がしますね。この1ページだけで、脳みそをイエロー・ジャーナリズムに支配されたオッサンMC・ティムの放言が番組の核になっているんだろうなというのがひと目で分かってしまいます。出演者がティムの発言に対するツッコミしかできていないあたり、常日頃から「軽率な発言」が多いタイプなんでしょうね。

また、「VUMAN」「リアリスツ・ウェブ」など、オリジナル固有名詞のそれっぽさも凄くないですか。趣味も頭も悪いタブロイド誌が「リアリスト(現実主義者)」を標榜するやつ、現実世界で5億回くらい見たことありますよね。

「VUMAN」は話の内容から見て「VIRTUAL HUMAN」の略から生まれた言葉なのでしょう。いわゆるバーチャルYoutuberのように中に人間がいる感じなのかとか詳しいところは分かりませんが、「代わりに入った新メンバーがCGキャラクターだったことにショックを受けてるんじゃ?」という推量が出てきているあたり、この新しいメンバーには、一個の人間として尊重すべき人間性とか権利とかいったものは存在しない感じなのかなという気がしますね。それこそマジの「人工知能アイドル」みたいなやつなのかも。未来やな~。

 

ニニーに対する悪意的な報じ方を見たドラゴン「エリー」が、テレビを破壊します。これたぶんメイシーの自宅なんですかね。めっちゃいい部屋っぽい。

ここでエリーがメイシーの気持ちに応えるかのようにテレビを破壊したのって、「ドラゴンは人間に接触すると徐々にその人間の持つ負の感情を吸収し 人に害為すダークドラゴンとなる」という話に明らかに繋がってますよね。メイシーのなかに堆積する悪意をエリーもまた貯め込んでいるのでしょう。ダークドラゴンになっちゃうんやろうな~。 

あと、「あたしのために ありがとう」っていうのも、今回の後半にメイシーが言った「”あんたの為に言ってる”なんて言ってくる奴を 信用するなって教えてくれたのは…」に呼応してるやつですね。

もちろんここでのテレビ破壊については、エリー自身が「自分はメイシーのために怒ってるんだぞ」なんて言ってるわけではなく、エリーの振る舞いを見たメイシーが勝手に「あたしのためだ」と解釈したに過ぎません。まあ当たり前ですよね。エリーによる破壊行為はそもそもメイシー自身の怒りから生じたものなんですから、メイシーにとって都合がよくて当然なんです。

メイシーがドラゴンの正確な生態をどの程度知っているのか分かりませんが、知っているにせよ知らないにせよ、「言葉を話しもしない生き物の振る舞いに自身の感情を勝手に投影して勝手に納得を深めていく→さらにその感情を膨れ上がらせる」という、「独りエコーチェンバー現象」とでも呼ぶべき状態に陥っているのは間違いなさそうです。負の感情の増幅ループ。負の感情がどんどん増幅されていくのであれば、おそらくこのループに入ったらドラゴンの『黒化』も加速しそうですし、めちゃくちゃ危険な状態っぽい。

個人的には、これこそがドラゴンの最も恐ろしい部分なんじゃないかという気がします。この「負の感情を吸収する」のって、別にエリーの特殊能力とかではなく、すべてのドラゴンが当たり前に持っている基本的な生態なので、誰がどんなドラゴンと接触してもこの最悪のループに入り込んでしまう危険があるんですよ。人間とドラゴンとの接触をあれほど厳しく取り締まっているのは、こういうのを防ぐためなんでしょうね。

メイシー、「”あなたのため”と言ってくるやつを信じちゃいけない」という理屈は分かっている(大好きなニナちゃんから貰った言葉なんだからなおのこと胸に刻まれてる)はずなんですが、それでも自分にとって都合がいい理解者(のように見える怪物)に靡いてしまうのは、まあ人間の弱さってことなんでしょうね。

「魔女/魔法使い」がドラゴンとの接触を許されているのは、「体質的もしくは技能的に、この危険なループに陥らないようにする手段を身につけていると認定されたから」なのかな~とか、そういう想像もできそうですね。もともとの人間性についてはあんまり関係なさそう。

 

場面が変わって、のえるの自宅ですかね。休日スタイルののえる、マジで可愛すぎる。あとプランティポッティがめちゃくちゃ可愛いですね。欲しい。

『黒化』していない通常のドラゴンは「ライトドラゴン」と呼び分けるようです。ただ「ドラゴン」だけだとドラゴン全般を指す言葉にもなってしまってややこしいですからね。ライトドラゴンの生活利用描写もたくさん見たいので、そこは劇場版に期待したいところですね。なんでもない背景のそこかしこに「ドラゴンの存在が当たり前に根付いている裏ロンドンの日常生活」の描写が見られたりすると非常に嬉しいです。

で、ここたぶんのえるの自宅だと思うんですが、バルゴ用の生活スペース(というかほぼベッドのみ?)も確保されてるようです。ニニーいわく週替わりの当番制でバルゴの監視をしているようですが、だとしても自宅にバルゴのスペース用意するのってめちゃくちゃ大変ですよね。そこは普通に『ウイング・バインド』本部とかにバルゴの部屋を用意してあげようやって思っちゃった。ていうかのえるの家族構成ってどうなってるんでしょうね。どうも一人暮らしっぽい雰囲気ですが。

のえるの連絡帳に設定されているニニーのアイコン、めっちゃ可愛くないですか。明らかに「アイドルの顔」をしていない、ニニー・スパンコールという一人の友人を写真に収めた、という風情です。ていうか休みの日にまで朝から電話しちゃうし、「ニーハの電話に勝手に出ていいのはあたしだけよ‼」とか言っちゃってるし、やっぱりこの二人はガチでめちゃくちゃ仲良しなんですよね。メイシー、頑張ってほしい。

 

「バルゴのドラゴン引き寄せ体質を利用しろ」という、ドラゴン違法飼育の調査依頼、明らかにクッソ怪しいっていうか、バルゴをおびき寄せて討伐するためのものですよね。ただ、この違法飼育というのがメイシーただ一人のことなのか、それとも複数件が同時進行しているのかはちょっとハッキリしませんね。まあ「リアリスツ」社屋で魔陣隊長官のブルーノが待ち伏せていたので、普通にメイシーのところにおびき寄せるつもりだったと考えていいと思うんですが。わざわざニニーと関わりのある人物の事件をバルゴ討伐のダシにしたのか、あるいは単なる偶然の一致だったのか。そのへんも気になりますね。

 

メイシー、本来は裏ロンドンのことを知らない通常人のようです。つまりドラゴンや裏ロンドンの存在を教えてテロ行為を唆した者がどこかにいるということでしょう。なんならテロ教唆なんかしてない可能性も大いにありそうですが。ストレスを抱えた通常人にドラゴンを与えれば、たぶんそれだけで勝手に破壊行為を始めてくれるわけですから、わざわざそういう指示を出す意味はあまりなさそうです。メイシーも自発的に破壊行動に移ったっぽいですし。この連載はその黒幕を追う話になるのかな?

あとこれはわりとどうでもいい話ですが、メイシーが裏ロンドンと関わりを持たない通常人ということは、読切版でやってた「ドラゴン・ドロップ」のCMなんかはあくまでもニニーのソロ活動っぽいですね。表で人気アイドルユニットをやりながら相方には裏ロンドンのことを隠して「ウイング・バインド」の仕事をしつつアイドルとしてもソロで仕事するの、2週間くらいで過労死しそう。

 

「あたしじゃなくてこの子がやったの」というセリフ、なんというか象徴的ですよね。人間にドラゴンを与えてしまうと、「自身の悪感情が原因となって発生した破壊行為に対して罪悪感を持つことすらできなくなる」んですよ。破壊行為の実際の主体がドラゴンであることは物理的事実ですから、「私はそこまでひどいことをやるつもりなんて無かった、あくまでもドラゴンが勝手にやったことだ」という言い訳ができてしまうんですよ。

しかも先述した負の感情のループは、当事者からしてみれば「ドラゴンは私の気持ちを汲み取って私のために戦ってくれるのだ、だからこの感情はきっと正しいものなんだ」という、本人にとって非常に都合の良い確信を容易に与えてくれるはずです。そこまでいくと、「仮にドラゴンではなく自分の手で行なっていたとしても、この破壊行為は正当なものであるはずだ」みたいな主張にもすぐ辿り着いてしまうでしょう。ただの人間を「罪の意識を一切持たない破壊者」に変えてしまう、だからドラゴンは恐ろしいのではないでしょうか。

 

それはそれとして、前回から取り沙汰されていたメイシーとニニーの不仲説は、ただの噂みたいですね。もしかしたらニニーのほうはメイシーに対して若干「引いてる」ような部分もあるのかもしれませんが、それは「嫌い」というのとは違うものですしね。ニニーがメイシーに投げかけている言葉も、「仲の良い友人に道を踏み外してほしくない、死なせたくない」という心配から来ているのは明らかです。このくだり、とにかくめちゃくちゃ直球の百合でビックリしましたね。メイシーとニニーのアイドル活動舞台裏日常コメディを2億ページ読みたい。

 

メイシーが「裏の建物を壊せば表の建物も同じように壊れる」という話をしてます。これは結構不思議な設定というか、ああ~そういうタイプの「裏」なんだ…ってなりましたね。

表ロンドンと裏ロンドン、おそらく「物理的にはロンドンは一つしかないが、互いに干渉しあわない”表側”と”裏側”とが重なり合って存在している」みたいなイメージなんでしょうね。東梢局の「尸魂界」と「現世」のような全くの異世界ということではないっぽく感じます。個人的には、上橋菜穂子先生の『守り人』シリーズに登場する、目に見える人間の世界「サグ」と、目に見えない精霊の世界「ナユグ」のイメージを思い出しました。二つの世界が同じところに重なり合って存在しているが、力の強い精霊や呪術師など、ごく一部の者しか干渉することはできない、というあり方です。『守り人』シリーズ、死ぬほど面白いのでみんな読もう! 

精霊の守り人 (新潮文庫)

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メイシー制圧のために裏手に回り込もうとしたニニーを、魔陣隊長官 ブルーノ・バングナイフが強襲します。バルゴを討伐するためにまず世話役の二人を排除しにきた、ということでしょうか? でも、そもそもバルゴ討伐はトップ・オブ・ホーンズの会議で決定された事項なので、ニニー&のえるの上官であるタッキネンあたりから直接命令を出してバルゴの身柄を預かってしまえば、わざわざこういうやり方をする必要はないはずなんですよね。タッキネンがバルゴの討伐に反対しているのでこの方法は採れない、ということかもしれません。

ブルーノは前回の最後にバルゴをなんとかするよう強く訴えた本人なので、ウルフギャングが開始を宣言した「討伐手続き」とは関係なく、ブルーノが独断専行して動いているという可能性もありそうです。

一つ気をつけておきたいのは、ブルーノはバルゴのことを「野放しにしとくのは間違ってる」とは言っていますが、「討伐すべきだ」とは一言も言ってないんですよね。「討伐」と言い出したのはあくまでもブルーノに話を振られたウルフギャングであって、それに対する他の面々の反応も現状では一切描かれていません。

つまり、ブルーノとしては「ドラゴン憑きの保護管理が行き届いてない、ちゃんと仕事しろ、100年ぶりのダークドラゴン侵入を許したのが不行届の良い証拠だ」くらいの温度感で話をするつもりだったのが、ウルフギャングがいきなり「じゃあ殺すわ」とメーターの振り切れたことを言い出した、という可能性もわりとあると思うんですよ。

この流れだった場合、ブルーノはむしろ「人事神罰隊の刺客からバルゴたちを守るために動いている」という線のほうが濃厚になってくると思うんですよね。人事神罰隊が色んな意味で「ウイング・バインド」隊員の生殺与奪の権を握っているのは名前からも明らかなので、「ドラゴン憑きの管理がろくにできておらず、市民を危険に曝し続けている笛吹き二名も処分する」くらいの話になってても、正直あんまり違和感ないですし。

というわけで、色々な展開が考えられそうです。この「バルゴ討伐を阻止する」というお話の枠組みは、尸魂界篇の「ルキア処刑を阻止する」という話と重ねている部分もありそうですね。

 

ところで今週、センターカラー扉絵隣の特集ページにて、『ウイング・バインド』各部隊に当てられた十二星座のシンボルマークが以下の通りに判明しました。

笛吹き隊:牡羊座

魔陣隊:牡牛座

経理隊:獅子座

戦術隊:蠍座

呪歌隊:山羊座

聖務隊:水瓶座

人事神罰隊:天秤座

開発隊:不明

笛吹き隊、戦術隊、人事神罰隊あたりはなんとなくイメージとして分かるような気はしますが、他は分かるような分からんような、なんとも言えない感じですね。ちなみにブルーノの上着の背中部分には牡牛座のシンボルマークが描かれていて、中に着てるTシャツにも牛の頭蓋骨が描かれていますね。牡牛座好きすぎ問題。

十二星座のなかで魚座、蟹座、乙女座、双子座、射手座はシンボルとして採用されていないっぽいですが、これらの部隊とは別の部署などがあってそっちに使われてるという設定なのか、あるいは普通に欠番なだけなのか。ちなみに乙女座(Virgo)はバルゴの名前に使われてるっぽいです。

あと、結構有名な話ですが、『BLEACH』の隊長格には十二星座っぽいデザインのやつがチラホラいるんですよね。京楽春水の二刀一対の斬魄刀『花天狂骨』は双子座っぽいし、浮竹の『双魚理』は名前からし双魚宮魚座)そのものです。これに付随する小ネタとして、『蛇尾丸』を使う恋次はちょっと「へびつかい座」っぽいという話もあったりしますね。黄道十二宮にギリギリ入らないポジションというのがすごく恋次っぽい。双子座と魚座については、京楽や浮竹ですでに使っちゃったから今回は外したのかな~という気がします。

 

今週はこのへんで。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

それでは。