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Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。寄稿のご依頼などはhoahoahoashi@gmail.comまでどうぞ。

『週刊少年ジャンプ』2016年51号の感想

こんばんは。ほあしです。

今週のジャンプの感想です。

ワートリ、しばらく休載期間に入るようですね。ファンとしては続きが待ち遠しいという思いがやはり強くあるのでたいへん残念ではありますが、葦原先生、首に持病を抱えている関係上あまり長時間にわたっての執筆が難しいという状況が続いているそうなので、この度の休載を機にゆっくり療養してもらえたらなと思いますね。冨樫先生の腰の持病による休載といい、やはり週刊のマンガ連載というのは作家への負担がきわめて大きなスタイルなんだと改めて思います。

 

◆『左門くんはサモナー』第58話「左門くんは合わせる」

 今回はほぼ完全にシリアス回でしたね。笑いを誘うシーンは序盤のやり取りと盛り塩のくだりくらいでした。祓くん、盛り塩マンでさえなければ本当に死ぬほど格好良かったはずなんですけど、得物が盛り塩であるばかりにこんなシリアス展開ですら面白くなってしまうのが本当にずるいと思います。まあそれでも十分格好良かったんですけども。「左門くんとネビロス」という宿敵同士の共闘が本編で進行している間、その裏側では「祓くんと悪魔たち」という宿敵関係にある者たちもまた密かに共闘していたんだというのがアツいです。

 マステマとの戦いについては、靴底魔法陣といい「ネビロスの本領は降霊術」という設定といい、今までに提示された戦い方をきれいに織り込んだバトルだったなあと思いました。降霊術士と召喚術士、きちんと協力さえすればパフォーマンスは向上するに決まっているんですよね。「ネビロスの降霊術に使役するための悪霊を左門くんの召喚術で大量供給する」というシンプルなシナジー。これをやるためにネビロスという悪魔をメインキャラにしたんだろうなと思います。

 ただ、アンドラス戦で残念に感じた部分が今回も出てしまったんですが、やはり左門くん、バトルにおける「ダメージ・破壊描写」がやや弱いなと。"栄光の両手"でマステマにアッパーを喰らわせたところでネビロスは「勝負はついた」と宣言していますが、あの時点では、そう断言できるほどの傷を負わせたようにはとても見えないんですよね。僕の目には「強めの攻撃がとりあえず一発だけいい感じに入った」くらいにしか見えませんでした。ラストの止めの一撃にしても同様で、マステマにどの程度ダメージが入っているのかが視覚的に表現されていない(軽く吐血しているだけですよね)せいで、決着の説得力が弱くなっているように思います。とはいえこの感想も、少年マンガならもっとド派手に破壊的なバトルをやるべきだ」的な、ジャンルに対する不当な規範意識が前提化してしまっている部分があるのかもしれません。少年バトルマンガの読者って、少年バトルマンガの読みすぎでその辺の感覚が麻痺してるような部分が多少あるような気はしますし。しかしマステマの場合、人間とは完全に隔絶した超越的な存在(今週は「敵対者という装置」という非常に非人間的な形容も出ましたね)としてここまで描いてきたわけですから、そういう相手を倒すほどの攻撃を描くなら、それ相応のダメージ描写はやはり必要なのではとも思うわけです。やはり「コメディだからあまりキツいバトルにはしないで」的なアレがあるんでしょうかね。

 いずれにせよ、マステマ編はこれで決着のようですから、ここからどういう舵取りをしていくのかは楽しみにしたいところです。主にマステマの今後の扱いについて。

 

◆『僕のヒーローアカデミア』No.116「挨拶タルタロス」

 なんというか、オールマイトの失墜およびオール・フォー・ワンの底知れなさがより強調されたような回でしたね。敵連合の動向を探る捜査の一環としてタルタロスまでやって来たようですが、そのわりにはオールマイトの私情が先行しすぎていたというか、塚内くんのような警察関係者も同席したうえで詳しく問い質すべきことというのが他に沢山あったのではと思わずには居られません。オール・フォー・ワンの言うとおり、本当に「生産性のない話題だな」という感想が正直なところです。オールマイトが個人的な「ケジメをつけに来た」という話だけになっていたなと。しかもオールマイト本人はすでに戦う力を失ってしまっているというのがまた惨めで悲しい。

 からの、かっちゃんがデクの"個性"について話したいとのことですが、ついに正体に勘づいたんですかね。「ある人から貰い受けた"個性"だ」ということだけは入学直後に話していましたし、かっちゃんはオール・フォー・ワンによる「他人から奪い取った複数の"個性"の同時使用」を見ていますから、それらのヒントがあればまあ答えに辿り着けそうな気はしなくもないですが。もしかしたらかっちゃんは「デクこそがオール・フォー・ワンから力を貰い受けて雄英に入り込んだ内通者なのでは?」と疑っているのかもしれません。

 

◆『火ノ丸相撲』第122番「めざめ」

 加納くん良いですね。四方田さんに「加納は相撲が好きじゃないんじゃないか」と思われていたのは、「自分は相撲が好きだけど、天王寺が抱いている相撲愛には到底及ばない、努力でも情熱でも天王寺には勝てない」という諦めが言動に滲んでいたからなんですね。しかし、だからこそ彼は「天王寺以外には誰にも負けたくない=ナンバーワンになることは諦めるけどナンバーツーであることは絶対に譲りたくない」というのを信念にしていると。つまり、天王寺獅童という巨大な才能に心底から惚れ込んでいるんですよね。「相撲を取る動機が自分の外側にある」というのはそういう意味だったと。惚れ込んだ仲間を支える「最強のナンバーツー」としての矜持、すごく格好良いです。

 で、そこからのチヒロがもう最高なんですよね。互いの廻しをがっちり取って組み合う「オーソドックスな相撲」の形勢になってしまったところから、「そのまま普通の相撲で勝負しに行く」というのが本当に格好良い。最終目標は総合の格闘王なのだとしても、いまの自分は間違いなく力士なのだという堂々の宣言ですよ。まさに「めざめ」。しかもこのきわめてオーソドックスで「地味」な寄りの相撲を取らせたのが、他でもない蛍の勇姿という。「俺が先に音を上げる訳にはいかねぇんだよ!!」というモノローグが冒頭の蛍の「僕だけ弱音を吐く訳にはいきませんよ・・・!」とシンクロしているのもアツい。

 というわけで、そのまま寄り切ってチヒロが勝利しました。今回の取組ですごく面白いのが、チヒロの取り口は「突きの連打→素首落とし→組み合ってからの寄り切り」という、最初から最後までごくありふれた普通の相撲になっていることなんですよね。レスリング仕込みのトリッキーな戦い方を本当に一切使わず、普通の相撲で普通に勝ったというのが、彼の力士としての「めざめ」をたいへん強調していると思います。

 

◆『鬼滅の刃』第39話「走馬灯の中」

 ヒキがあまりにもアツすぎる。

 とりあえず、糸に絡め取られて宙吊り流血する禰豆子の絵が非常に美しいですね・・・。この絵だけフルカラーで着色してほしいくらいめちゃめちゃ好きなやつです。エロスと痛々しさの同居が本当に最高。

 しかし今週についてはもう本当にラストのヒキが最強すぎる。炭治郎のお父さん、何者なんでしょうか、というかやはり元鬼殺隊の戦士だったりしたんでしょうか。「呼吸を整えてヒノカミ様になりきるんだ」というのは、明らかに鬼殺隊の戦士が用いる「呼吸」に関わりがあることでしょう。「ヒノカミ」というのは、古事記において「天照大神」を指す言葉です。言うまでもなくこれは太陽の神なわけですが、炭治郎が鬼殺に用いる「日輪刀」は太陽の力を強く吸収した「猩々緋砂鉄」「猩々緋鉱石」という金属・鉱石から造られたものなわけで、ここに一つの繋がりがあるんですよね。「闇に生きる魔物は太陽に弱い」という、本ブログでは『BLEACH』を読むうえで完全におなじみのアレですね。あとこのお父さん、いま炭治郎が付けているのと同じ耳飾りを付けていますが、そもそもこの耳飾りからして太陽をモチーフにしています。炭治郎、実はなるべくして鬼殺の戦士になったのかもしれません。非常に気になる・・・。

 

◆『レッドスプライト』第13話「遺灰兵士」

 遺灰兵士の設定、めちゃめちゃ格好良いやつでしたね・・・。しかしブラックバーン召喚のために迷わず自決するエデニア雷髄兵士たちのガンギマリっぷりが凄まじい。ああいう行動をためらわずに実行できることにも何か理由があるんですかね。人間として最低限持っておくべき理性や判断力を奪うような処置が施されているのか、あるいはエデニアに文字通り身命を捧げるだけの理由が彼ら雷髄兵士にはあるのか。ブラックバーンをはじめとした将校らはエデニア建国の頃の「英霊」「古の戦士」だそうですから、現在のエデニアという国の実権を大きく握っているのは通常人ではなく「大昔の雷髄人間」らしいんですよね。そこを踏まえると、雷髄兵士が命懸けで戦えることの理由も色々と考えられそうな気がします。「実はエデニアも雷髄人間のための国造りを目論んでいる(でもそのための手段は選ばないので"資源用の雷髄人間"を普通に使ってたりもする)」とか。あるいは「普通の雷髄兵士でも遺灰兵士として復活できるのでそもそも死への抵抗感が少ない」とか。連載が安定して続いてくれればそのあたりのお話も見えてくるんでしょうが、どうなるでしょうか。

 ブラックバーンとの戦い方としては、モノの発する強大な電磁力で灰を散らそうという非常にシンプルなものでしたね。対遺灰兵士の基本戦術がおそらくこういう感じなのだと思いますが、モノの戦略的・戦術的価値がどんどん高まっていますね。普通の雷髄人間の発電力では灰を奪えないでしょうから。

 この作品、一つ一つの設定や、雷髄を活かした超高速戦闘などは非常に迫力があるんですが、やはり絵的な派手さ・ケレン味に欠けるのは如何ともしがたいところがありますね。最後のコマの超モノサンダーなども、凄まじい規模の雷電を発生させているんだろうというのは流れから分かるものの、絵での説得力がイマイチ弱いなと。この辺、左門くんのダメージ描写問題と似たアレだと思うんですが、もう少しマンガ的なハッタリや誇張があっても良いのかなと個人的には思います。今週と来週で新連載も始まりますが、できれば生き残って欲しいところです。

 

 今週の感想は以上です。

 ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。

 それでは。