『BLEACH』第665話「The Princess Dissection」の感想・考察
こんばんは。ほあしです。
今週のBLEACHの感想です。
『BLEACH』第665話「The Princess Dissection」
浦原の卍解『観音開紅姫改メ』、いよいよお目見えです。先週が休載だったので、本当に待ち遠しかったですね。今週の目次コメントによれば、久保先生のインフルエンザ罹患が休載の理由だったようです。ワルい奴だぜ浦原喜助。
今週のタイトルは「The Princess Dissection」です。タイトル見開きのデザインは明らかに観音開きの扉を意識したものですね。"dissection"は「切開・解剖・解体・分析」という意味の語なので、訳するなら「紅姫による解剖」といった感じでしょうか。触ったものを切り開いて改造する能力ですから。
というわけで、前回の記事(『BLEACH』第664話「The Gift」の感想・考察)での能力予想はなかなかの大外れでしたね。おそらく「観音開き」というのは、モノを切り開いたときの切り口がパカっと両開きになるところから来ているのかなと思います。「改メ」というのも、「名前が変わる」という意味ではなく「改造しちゃいますよ」的な意味合いだったのかなと。
浦原の卍解に対して、ナックルヴァールは驚きを露わにしています。ユーハバッハから与えられた情報には浦原の卍解についての話はなかったとのことですが、浦原曰く「今居るヒト達の前で使うのは初めて」とのことなので、人知れず使ったことは何度かあるようです。まあそもそも護廷隊長ですから、「見えざる帝国」側も浦原が卍解を修得済みであること自体は普通に知っていたでしょう。ただその詳細までは掴めなかったというだけで。この卍解を見たことがある人物がいるとすれば、やはり夜一くらいでしょうか。あとは浦原の隊首試験に元柳斎とともに立ち会った隊長たちとか。これが具体的に誰だったのかは明言されていませんが。
ナックルヴァールの腕が、突然縦に大きく切り開かれます。傷口を見るに、これは物理的に切り傷を負わせたということではなく、「造り変える」という手続きが行なわれていることを示したものにすぎないのでしょう。だからこの傷口からは出血もしていないし、「範囲」攻撃だという浦原の卍解から距離をとったことで跡形もなく消えています。しっかりと「造り変え」を行なった浦原の肉体には縫合痕が残っていますから、ナックルヴァールに対する「造り変え」は失敗に終わったようです。おそらくですが、ナックルヴァールの肉体そのものだか完聖体だかを造り変えて、無敵の「免疫」を失わせようと考えたのではないでしょうか。
距離さえ取れば関係ないということを看破された浦原が採った戦術は、「自分自身を改造して直接攻撃で戦う」というもののようです。霊圧による攻撃がどうしても通じないのであれば、物理的に破壊して殺すしかないということでしょうね。実際、ナックルヴァールは霊王宮で王悦に一度斬り伏せられていますから、物理攻撃はそれなりに有効なのかもしれません。眼を造り変えて視力を取り戻したり、腕を造り変えて膂力を増大させたりと、なかなかやりたい放題です。
で、浦原のこの戦い方なんですが、零番隊の一人・修多羅千手丸のそれに似ているように思えてならないんですよね。「義肢による目にも留まらぬ縫合」というコンセプトや、そもそも義肢のデザインからしてあまりにも似すぎています。千手丸は少なくとも涅や技術開発局とは因縁があるようですし、ただでさえ浦原は零番隊の技術を参考にして自分の研究に応用しているようですから、何らかの繋がりがあっても不思議ではありません。
身体改造による力業の攻勢を、ナックルヴァールは嫌がっています。彼は常に自分の毒殺スタイルで戦うことに強くこだわっていましたから、相手にペースを掴まれるのは本当に嫌なんでしょうね。ただ、王悦や四楓院姉弟との戦いを見るとそもそも物理攻撃自体が苦手っぽいので、「力対力の戦い」を嫌うのにはそういう理由もあるのかもしれません。
圧倒的な物理ゴリ押しに思いのほか追い詰められたのか、ナックルヴァールは「極上毒入りボール」を強めて浦原の息の根を止めようとします。まあ当然の判断ですよね。しかし、浦原の作った侵入経路から一息に接近したグリムジョーによって、背後から心臓を抉り取られます。この侵入経路、「地面を這い回ってる」うちにコソコソ作っていたんでしょうね。地面のどこかに触れてしまえばそこから繋がる地面は全て「改造」の対象にしてしまえるのかもしれません。
グリムジョーの腕や顔を見るかぎり、彼はいま帰刃状態にあるようですね。彼が最後に描かれたのはナックルヴァールの「毒入りボール」を受けて倒れたときでしたが、どうやって回復したんでしょうね。浦原がこの戦線へ合流してくるときに治療を施したか、あるいは自ら帰刃を行使して回復したかといった感じでしょうか(破面の帰刃には回復機能があります)。
前者の場合なら、浦原はナックルヴァールとの戦闘前にある程度の打ち合わせを行なうこともできるでしょうしね。それとも、今回の助太刀も浦原とグリムジョーが交わした「契約」のうちだったりするんですかね。
最後にグリムジョーがナックルヴァールの心臓を握りつぶし、今週は幕です。滅却師(つまり生身の人間)に対して心臓摘出&破壊までやってしまう辺りなかなかの徹底ぶりですが、これまでの親衛隊の面々を思い返すと、たぶんこれでもまだ死なないんですよね。頭部を切断されてもなお蘇り、肉体の軛から解放された霊的存在になってしまったリジェという前例がありますから。しかもナックルヴァールの場合は「ただひたすらに死ななかったから」という点をユーハバッハに高く買われているくらいですから、やはりリジェと同様、世界を破滅せしめる天使として復活するのではないかと思います。個人的には、そろそろ砕蜂の合流を期待したかったりするんですが。
それと、〈破面篇〉で浦原が言っていたセリフについても納得がいきました。彼の卍解が「人を鍛えるのに向いてない」というのはもう当然のことですよね。相手を造り変えてしまっては鍛錬もヘチマもありませんから。今回のように自分の体を改造しての物理ゴリ押し戦闘に徹するということであればまだ「鍛える」というのも可能かもしれませんが、それならべつに浦原の卍解をあえて使う意味がありませんし。
あと、これはもう完全な与太話として受け取ってほしいんですが、『BLEACH』は次回で第666話になるんですよね(過去篇では3ヶ月ほど通し話数から外れたマイナス話数になっていたので、実はもう680話くらいになっているんですが)。「666」、新約聖書の『ヨハネの黙示録』にて言及されている、いわゆる「獣の数字」です。古来から、この数字にはいかなる意味があるのかについて様々な議論がなされています。
「666」という話数直前のこのタイミングでグリムジョーが登場したのを見ると、彼がジャガーという「獣」、あるいは虚という「獣」であることに引っ掛けた表現を次回に盛り込んできたりするんじゃないかなーとか、そんな期待をしてしまうんですよね(破面はウルキオラを中心に悪魔的なイメージを強く付加させて描かれていましたし)。話数の数字に引っ掛けた凝ったサブタイトルを今までにいくつも見せてくれている久保先生ですから、いかにも何かありそうだなーと。そんな意味でも来週がすごく楽しみです。
最後に。「少年ジャンプ+」上で、『BLEACH』の第1話から第14話までが二週間限定で毎日更新中ですよ。閲覧期限は3月27日まで。
〈千年血戦篇〉まで至った今だからこそ、読み返してみることで新たに見えてくるものがあると思いますよ。「兄」として見たときの一護と織姫兄の対比(これは一護と白哉の対比と相同です)とか、一心と竜弦の関係とか。ぜひご一読を!
今週の感想は以上です。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
それでは。