『BLEACH』第661話「MY LAST WORDS」の感想・考察
こんばんは。ほあしです。
今週のBLEACHの感想です。
『BLEACH』第661話「MY LAST WORDS」
ハッシュヴァルトの周囲を埋め尽くす黒い影が、明らかに剣呑な雰囲気を帯びています。帝国の滅却師がこれまで使役してきた影と同じものなのか、あるいはユーハバッハが吸収した「霊王の力の奔流」に相当するものなのかは分かりませんが、ハッシュヴァルトとユーハバッハの力が交換されている今ならどちらの可能性もあると思います。
雨竜が当てにしていた「太陽の門」をハッシュヴァルトがすでに破壊していたというのも、彼が未来視の力を持っていることを裏付けるものですね。雨竜の答えが視えていたからこそ先回りの対策ができたのですから。ただ、これによって現世との往来が難しくなったとなると、竜弦の参戦もまた遠のいたと言えそうです。まあ今までどおりの状態に戻っただけのことなので、実際には何が変わったわけでもないんですが。
で、雨竜たちはまさにその点に希望を見出したわけですね。『全知全能』の力さえ無ければユーハバッハは倒せるはずだと。ハッシュヴァルトの聖文字"B"がどんな能力なのかはまだ分かっていませんが、さすがに『全知全能』ほど手に負えないものとは思えませんから、いくらかマシな状況ではあるはずだと考えられます。しかも、ユーハバッハはいま「眠っている」わけですし。
「最期の言葉じゃあるまいし」という雨竜の言葉はいわゆる死亡フラグ的なものにしか見えないわけですが、さすがに雨竜がこのまま死ぬとは思えません。死んでしまうには、まだ語られていないものが多すぎます。かといってハッシュヴァルトをすんなり倒してしまうとも思えないんですよね。『全知全能』の力を預けられている現在のハッシュヴァルトは、基本的には無敵状態のはずですから。
しかし、雨竜には「ユーハバッハの力を超える何かがある」はずなんです。いまここでハッシュヴァルトを倒すことこそできないにしても、ただ為す術もなく敗死するということも無いのではないかと思います。
実際、いまの雨竜の言動はハッシュヴァルトが視たはずの未来を超えたもののようですし。雨竜も言っていますが、彼のもとにあるときの『全知全能』は、ユーハバッハが使う時ほど完全無欠のものではないのかもしれません。あるいはユーハバッハが相手でも雨竜だけは未来視を超えられるのかもしれませんが。
いまリンクを貼った「深読み2」の記事でも触れていることですが、「雨竜が希望に満ちた表情で未来のことを語っている」というのはそれ自体が非常に示唆的だと思うんです。ハッシュヴァルトが指摘していますが、いまの雨竜には、これまで持てなかった未来への希望・明るい展望が生じていることが分かります。「もしかしたらこのままユーハバッハを倒せるかもしれない」という大きな希望を見出したからこそ、雨竜はまだ見ぬ未来のことを自ら進んで口にできるようになったわけです。行く先に絶望的な結末しか見えない人には、未来のことをすすんで考えることなど出来はしませんからね。「喜びが無ければ未来に目を向ける事などできない」というのはかつて竜弦が言ったことですが、今週の雨竜の自信と希望に満ちた態度はまさにこの言葉を踏襲したものだと思います。
今週のタイトルは「MY LAST WORDS」です。「わたしの最期の言葉」ですね。あくまでも今週の内容のなかで特に印象的な雨竜のセリフを拾ったというだけであって、「マジでこれが雨竜の最期の言葉なのでそれを強調するためにタイトルに持ってきましたよ」という意味では断じて無いと思います。
ユーハバッハの居る最上階目指して階段を駆け上がる一護・チャド・織姫。織姫が涙して語った不安と安堵の気持ちは、かつて〈破面篇〉で一護たちが織姫に対して抱いていたのと同じものなんですよね。藍染の計略によって「自らの意志で一護たちを裏切り、破面側に付いた」かのように思われた織姫に対して、一護たちは「織姫が裏切るわけがない。何か止むに止まれぬ事情があったに違いない」と信じ続けます。結果、やはり織姫は本心から破面の味方についたわけではなかったことが判明しました。
こうした「あるキャラに裏切りの疑惑がかけられる→無実でした」という流れは、先週もお話しした「罪を洗い流す物語」という本作のテーマに沿ったものです。かつてこうした疑惑を向けられたうちの一人である織姫にこういう心情を語らせるというのが本当に素晴らしいと思います。無実の疑惑をかけられた経験がある織姫だからこそ、雨竜にも何らかの事情があって敵側に付いているのだろうとより強く確信できるわけです。
〈破面篇〉での織姫の言葉を読み返してみると、「疑惑をかけられた者としての心情」と「疑惑をかけられた者を信じ続ける仲間としての心情」の両方をより強く感じられるのではないかと思います。この時点から織姫は、どちらの気持ちもよく分かっていたんですよね。
こういう構造になっていますから、「〈千年血戦篇〉は雨竜がヒロインだ」と当初から言われていたのもある種当然の話ではあるんですよね。〈尸魂界篇〉のルキアや〈破面篇〉の織姫のように、これまでヒロインが担ってきた役どころが本当に雨竜に割り当てられているわけですから。
そこへ巨大な石像の大群が襲いかかります。すんでのところで織姫を抱き寄せて回避した一護はいいとして、それによって織姫が頬を染めているのがめっちゃカワイイですね。石像に叩き潰されそうになったことへの焦りよりも、一護に接近したことへのドキドキのほうが大きいわけです。大物すぎますよね。
石像の一斉攻撃で回廊が破壊され、道が分断されました。チャド一人だけが取り残されるかたちになったところへ、岩鷲が合流します。「置いて行かれたせいではぐれて迷子になってた」とのことですが、そんな調子で果たして大丈夫なんでしょうか。死後に尸魂界に送られた銀城・月島・沓澤の三人による修行をつけられたはずなんですが、どの程度強くなっているのやら。岩鷲が以前から使っている鬼道めいた霊術「志波式石波法」は少なくとも健在のようですから、石像相手ならまずまず戦えそうではありますが。
ただ、この巨大石像の大群、チャドの相手としてはさすがに物足りないなと思います。巨大石像の群れも「巨人」であることには変わりありませんから、『巨人の右腕』を持つチャドが相手をするのはまあまあ相応しいのかなとも思いますが、できればもっと明らかな強敵と戦ってほしいですよね。一護たちが安全に帰還できるよう準備しておくことはもちろん大事なんですが、本当にただそれだけだとさすがに「地味な仕事」すぎるよなーと。もちろん、この「地味な仕事」というセリフ自体がむしろド派手な戦いへの前フリになっているという可能性もあるわけですが。
また、チャドが道中に留まったことで、最終的にユーハバッハのもとへ辿り着くのは一護と織姫の二人になりそうですね。この二人、それぞれの能力のあり方は全然違うものですが、どちらも「神」に匹敵する力を持っていると思われるキャラです。『全知全能』を持ちながら霊王をも吸収したことで限りなく「神」に近づいているユーハバッハと対峙するに相応しい二人だと思います。
一護とユーハバッハの対峙がいよいよ近づきつつあり、ちょっとしたクライマックス感も見えてきたところではありますが、このままユーハバッハを倒して終わりとはとても思えませんよね。そもそもいまのユーハバッハは『全知全能』を持ってすらいない状態ですから。戦況の大きな変化がそろそろ起きるのではないかなと思います。
最新話の感想については以上ですが、先週発表された「BLEACH×パズドラ コラボ」について、パズドラの運営サイトにて専用ページが設置されていますので、そちらについてもご紹介しておきます。
このページを見たかぎり、現時点では一護・ルキア・織姫・チャド・雨竜・夜一・浦原の7キャラは(おそらくコラボガチャでの入手キャラとして)実装が決定しているようですね。一護については究極進化まで含めての実装のようです。
絵については原作よりもアニメ版に準拠しているように見えます。夜一の着ている刑軍統括軍団長の刑戦装束に「例の謎の布」が付いていますし。そこはぜひ原作準拠でアレしてほしかったところですが…。恋次や白哉や日番谷などの人気キャラについても今後追加で発表される可能性が大いにありますので、続報を待ちましょう。
一護の卍解が昔のものだったり、チャドが『悪魔の左腕』を使っていたり、雨竜が『銀嶺弧雀』を使っていたりするので、今回のイベントは〈破面篇〉までの内容に準拠したものになると思われます。パズドラは同じ作品とのコラボイベントを複数回にわたって行なうことがよくありますから、現時点では未完結の〈千年血戦篇〉についても十分に期待できると思います。
今週は以上です。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
それでは。