Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。

『BLEACH』第614話「KILL THE KING」の感想・考察

こんばんは。ほあしです。

今週の『BLEACH』の感想です。

 

BLEACH』第614話「KILL THE KING」

 一護一行の打ち上げ直後に浦原と合流していた『仮面の軍勢』の面々がここで登場しました。彼らの収集した「世界の歪み」を利用して、霊王宮へ直接繋がる「門」を創り出すようです。先週の記事では、「霊珠核」らしき物体が登場したりしていたことからやはり「打ち上げ」的なやり方になるのかと考えていましたが、あの珠は「霊珠核」とは別の使い方をするようですね。

 ところで、筆者は、平子やひよ里の話す関西弁がとても好きです。訛りとして不自然なところがほぼ皆無で、活字で読んでいても自然な関西弁としてすらすらと脳内再生されてくれるので読んでいて気持ちがよいのです(しばしば乱暴な言葉づかいが飛び出すこともありますが、それも含めて「リアルだなぁ」と思います)。ちなみに筆者は生まれも育ちも兵庫県なので、一般にイメージされる「関西弁」のイントネーションや語彙についてはまずまず知っているものと自負しております。

 関西弁に限らず、『BLEACH』は比較的多くの方言が登場する作品ですね。関西弁といえば市丸もいますし、射場さんの広島弁や、リサの三重弁まじりの名古屋弁など、よく一つの作品でこれだけ細かく使い分けられるものだと地味に感心していたりします。作者の久保先生は広島県のご出身だそうですから広島弁は分かるにしても、そのほかの方言についてもごく自然に書き分けられているのは面白いところです。もしかしたら、地方出身のご友人などに監修してもらっているのかもしれませんね。

 

 そして、『仮面の軍勢』の面々も死神としてこの戦いに参戦するようです。ここにきて虚化能力の持ち主が戦線に大量投入されるということは、やはりこれからその活躍が見られると期待してよいのではないでしょうか。京楽は四十六室に掛け合って「虚化戦闘の許可」を得ようとしているのではないか、という予想が意外と本当に的中してしまうかもしれません。楽しみです。

 せっかく本編に『仮面の軍勢』が出てきているのでここで話しておくと、筆者は『仮面の軍勢』の虚化戦闘について一つ気になっていることがありまして、それは、「『仮面の軍勢』は『刀剣解放(レスレクシオン)』を使用できるのではないか」ということです。そもそも『刀剣解放』とは、死神化した虚『破面』が刀剣の形に封じ込めた本来の力を解放することですが、虚化した死神でもこれを使用できるという実例が本編に登場しています。

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久保帯人BLEACH』44巻168,172頁)

 〈破面篇〉において藍染の麾下で虚化を身につけた死神・東仙要です。彼は『狂枷蟋蟀(グリジャル・グリージョ)』という名の自らの異形をはっきりと『刀剣解放(レスレクシオン)』と呼んでいますから、虚化した死神が『刀剣解放』を使用可能である、というのはひとまず間違いないようです。では、死神が『刀剣解放』を使用するには、いったいどんな手順を踏めばよいのでしょうか。

 これは筆者のごく個人的な見立てなのですが、虚化した死神が『刀剣解放』を使用するには、虚化したままの状態で『卍解』する」ことが必要なのではないかと思うのです。つまりさっきの東仙は、まさに「虚化したままの状態で『卍解』」したことによって『刀剣解放』を発動させたのではないかということです。なぜこのように考えるのかといえば、破面の『刀剣解放』と死神の『卍解』はほぼ同質のものである、という話が〈千年血戦篇〉で為されているからです。

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久保帯人BLEACH』62巻36頁)

 破面の『刀剣解放』と死神の『卍解』がほとんど同じものであるのなら、虚化によって虚の霊圧を色濃く帯びた状態の死神が『卍解』を使用すれば、それはすなわち『刀剣解放』になるのではないか。そう筆者は考えているわけです。

実際、本編中で「卍解状態のまま虚化した死神」は、東仙を除けば一護ただ一人であり、仮面の軍勢』の面々は誰一人として「卍解状態のまま虚化」したことはありません。いわゆる「奥の手」として、『仮面の軍勢』が『刀剣解放』を見せていなかったという可能性はそれなりにあり得ると思うのです。

しかし厳密にいえば、先の画像を見ても分かる通り、東仙は『刀剣解放』のときに「卍解」とは宣言していませんから、間違いなく「虚化卍解」を使ったことがあるのは一護のみなんですね。ではなぜ一護の「虚化卍解」が『刀剣解放』にならないのかという疑問が生まれるのですが、それはおそらく、一護の内なる虚の正体が『斬月』という斬魄刀の一部であり、つまるところ、自身の「斬魄刀」の力を引き出しているに過ぎなかったからではないかと筆者は思っています。

 こんなわけで、『仮面の軍勢』はそのうち『刀剣解放』を見せてくれたりするんではないかなーと筆者は期待しているわけです。滅却師に対して虚の力が有効であるということはすでに判明している事実ですし(同じ流れで、グリムジョーやハリベルといった『破面』の生き残りなども参戦するかも、と期待しています)。100年前の時点で隊長だった平子などは勿論のこと、副隊長だった面々も100年もの長きにわたって鍛錬を重ねていた以上、『卍解』を修得していても不思議ではありませんから。

 

 話題が大きく逸れました。今週号の感想に戻ります。

 

 今週のタイトルは「KILL THE KING」。単純明快、「霊王を殺せ」ということでしょう。

 一護一行とユーハバッハが対峙する霊王宮に場面が移ります。ユーハバッハは「全て視えていた」と繰り返し語り、自分の「全てを見通す眼」のことを「真の滅却師たる者の証」と表現します。「真の滅却師」というのがどういうものを指すのかは分かりませんが、彼の『全知全能(Almighty)』が「真の滅却師たる者の証」であるのだとすれば、雨竜がユーハバッハから授かった”A”の聖文字はやはり”Almighty”とは違う言葉なのかもしれませんね。雨竜は「『ユーハバッハを超える何か』を持った混血統滅却師ですから、ただの純然たる滅却師でないことは間違いないと思います。

 一護は霊王の胸に突き立てられた剣を引き抜きますが、そのままの勢いで霊王を斬りつけてしまいます。剣から迸った「血装」を見る限り、これはおそらくユーハバッハが和尚に対して使用した『外殻静血装(ブルート・ヴェーネ・アンハーベン)』によって、一護の腕を無理矢理動かしたのだろうと考えられます。ただ、「お前の中の滅却師の血は決して霊王の存在を許さない」とユーハバッハは一護に言っていますから、もしかしたら『外殻静血装』以外にも何か理由があるのかもしれません。

 このあと、『見えざる帝国』をぐるりと取り囲む外壁に亀裂が走る描写があって今週は終わりました。

 一護が斬りつけたことによって、「世界の楔」である霊王に最後のとどめを刺してしまったということなのでしょうか。だとすれば、ユーハバッハの言うとおり尸魂界は終焉に向かうばかりですから、何らかの対応策が講じられるか、あるいはユーハバッハですら予見できなかった不測の事態が発生したりするのだろうと思われます。ここでいう対応策としてまず想起されるのは、やはり浮竹が準備している『神掛け』でしょうか。字面から判断するに、浮竹が一時的に霊王の代役を果たすとか、あるいは霊王を憑依させるとかいうことが想像されますが、やはり蓋を開けてみなければ何とも言えませんね。次回を楽しみにしましょう。

 

 それと、『BLEACH』連載13周年記念企画の一環として、公式ファンブックの刊行が発表されましたね。13という中途半端な数字で大きな企画を動かしていた理由は、やはり護廷十三隊に大きくフォーカスした企画だったからのようです。人気投票企画などもあるようですが、その応募要項に添えられた注釈によれば今夏発売予定とのこと。今から楽しみです。

 

 今週の感想は以上です。

 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

 それでは。