Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。

『週刊少年ジャンプ』2017年11号の感想

こんばんは。ほあしです。

今週のジャンプの感想です。

 

◆『僕のヒーローアカデミア』No.126「拓け世界」

 オールマイトがナイトアイに対して「会わせる顔がない」というのは、やはりワン・フォー・オールを失ってしまったことによるのでしょうか。オールマイトが「忠告」を受けるとしたら、やはりそれ関係の話だと思うので。いつも動画を眺めてるというミリオくんの証言やデクの顔真似に対するキレ方から察するにナイトアイは現在も結構なオールマイトフォロワーのように見えますから、仲違いをしたとかではなく単にオールマイトが一方的に引け目を感じているだけっぽいですね。

 ミリオくんから「どういうヒーローになりたい?」と問われたデクの返答が良いですね。「どんなに困ってる人でも笑顔で救ける」という従来の目標(つまりオールマイトへの憧れそのものなわけですが)に、かっちゃんとの衝突と和解によって「必ず勝つ」という要素が加わっています。「デクにとって身近な目標・憧れとしてかっちゃんがいた」という言葉が嘘ではなかったというのが分かります。かっちゃんに聞かせてあげたいセリフですね。ミリオくんがデクに対して「元々サーが好きそうだと思ってた」と言っているのには「笑顔」というキーワードにピンときたのもありそうですね。しかしミリオくん、元・後継候補なだけあって人間的な魅力に溢れているなと思います。

 で、肝心のサー・ナイトアイですが、正直今週に関しては「コチョコチョマシーンがエロすぎる」以外の感想が無いですね・・・。あんないやらしい機械を常設してる事務所めっちゃイヤでしょ・・・。というかコチョコチョで無理やり生理的な笑いを起こさせるのは「ユーモア」と呼んでいいのかみたいなアレもありますね(むしろ力押しっぽい)。まあ彼については待て次号という感じで。

 

◆『鬼滅の刃』第49話「機能回復訓練・前編」

 善逸おもしろすぎ問題。こいつの好きにさせるだけで勝手に笑いが取れるレベルなので本当にずるいと思います。どうでもいいですけどお尻を「二つ」とカウントするのはかなり斬新っぽい。

 ところで「機能回復訓練」という言葉ですが、これって普通に医療用語なんですよね。いわゆるリハビリ訓練のことなんですが、実際の医療用語を当たり前に使っているあたり、やはり蝶屋敷は鬼殺隊における治療の拠点みたいになっているのかなと思います。ここが攻め落とされたらヤバそう。まあしのぶちゃんが居るという時点でかなり堅牢だとは思いますが。

 しのぶちゃんといえば、彼女、われわれ読者からの印象だけでなく、「作中世界の美醜の基準に照らして見てもとんでもない美人」なんですね。「顔だけで飯食っていけそう」って相当なものですよ。女の子大好きな善逸が言うんだからこの評価は信頼してよいと思います。実際、睫毛の描き込み方や瞳の大きさ、顔全体の造型バランスなどを見ると、他の女性キャラクターと比べてもかなり明確に「美形」であると分かるような描き方をされていると思います。いわゆる「お人形みたいな顔立ち」そのものというか。同様の特徴があるとすればカナヲくらいでしょうか。もちろんこれは人によって好みが分かれるものなので、「しのぶを美形だと思わない人はおかしい」などという意味ではありません。「美少女」を意識的に描こうとするスタンスが個人的に好きという話です。

 カナヲに太刀打ちすべく、「全集中の呼吸を四六時中維持する」という課題が提示されました。正直言ってこの「呼吸」というのが具体的にどういうものなのかがイマイチよく分かってないので、ここらで軽くでも説明などしてもらえると読者としては嬉しいなと思います。まあそういう設定部分が全然よく分かってなくても楽しく読めちゃってるのがこの漫画の恐ろしいところでもあるのですが・・・。

 

一言感想

◇『U19』第1話「紅童衛児と立派な大人たち」

 新連載第2弾。正直に言うと、きわめて強い不快感を覚える内容でした。敵として設定されている「大人たち」がどう見ても「理不尽で横暴な振る舞いをして、最終的に主人公にブッ飛ばされるためだけに置かれた舞台装置」でしかなく、キャラクターとしての魅力が全然ないんですよね。たとえば冒頭で主人公が教師の横暴な指導に対して(それこそ子供でも気づくような分かりやすいレベルの)矛盾を指摘していますが、これに対して教師側は特に理論化された返答もせずただちに暴力に訴えています。大人側の行動原理について最低限子供をだまくらかせる程度の理屈付けもできてないらしいあたりで、弾圧者としての格が低く見えてしまいました。なんかこう、「スカッとジャパン」とかツイッターの創作実話とかで見るような「"正義の鉄槌"でブン殴って爽快感を得るためだけに作られた薄っぺらい非実在クソ野郎」に感じるのと同じニュアンスの不快感を全編にわたって感じました。

 「リビドー」などの設定を見たかぎりでは「ディストピア化した近未来日本での異能バトル」をやるつもりなのだと思いますが、第1話で具体的な異能バトル描写が全く出てきてないのは構成的に大丈夫なのかとも思います。

 あと、ふと思ったんですが、主人公の児」という名前、もしや紅衛兵にあやかってたりするんですかね。残りの「童」「児」の二文字はどちらも「子供」を意味するものですから、「紅衛兵的なポジションにいる子供」みたいな意味付けなのかなと。いや、内容的にもこう、「圧制に対する革命の機運が勃興」みたいなアレなので、文化大革命から元ネタを引っ張ってきてるのかなとかそういう推量がふと働いた次第でして。だとしたらなかなかひねりが効いてる名前だなと思います。人名として響きも自然ですし。

 

◇『約束のネバーランド』第26話「生きたい」

 今このタイミングでノーマンが無事に逃げ遂せたとして、エマやレイたちに活路は残るんでしょうか。今後の脱獄の目を残しつつノーマンを逃がすのであれば、ママとの何らかの交渉が必要なように思いますが果たして。とはいえ、いよいよ脱獄が実行フェイズに入りつつあってにわかに面白くなってきました。

 

◇『ハイキュー!!』第241話「託されたチャンス」

 攻防を重ね、烏野がマッチポイントを迎えました。やはり椿原はメンタル面のコントロールを選手自らが上手に実践している感がありますね。追い込まれてもテンションを落とさず、自分たちの強みにどんどん目を向けて鼓舞していくスタイルです。「バレーは上を向くスポーツだ」ですよね。

 

◇『僕たちは勉強ができない』問2「天才の憧憬は[X]である」

 同じ受験生である同級生の可処分時間を割いて勉強に付き合ってもらってるのに居眠りなんかするなクソッタレ。眠り姫ムーヴは文系の授業だけにしろ。

 はい。「数式を見ると眠くなる」という何の面白みも新規性もない超紋切り型の数学ニガテ描写がそのまま協力者への愚弄に繋がっている、というかなり最悪の連鎖だと思います。主人公をバカにしているんだなとしか思えませんでした。そのくせ自分は「言質取った」とか言っちゃうというド厚かましさ。そこまで言うならきちんと誠意を見せろ。

 また、ヒロイン二人がそれぞれ自分の"向き"ではない分野への進学を考えている理由が明かされましたが、これ、緒方さんの方はなんでこんなリアクションに困る感じの理由付けにしたんでしょうかね。いや別にどんな理由でも構わんと言えば構わんのですけど、正直、ゲームくらい下手の横好きで楽しんでいればいいんじゃないのかなくらいにしか思えません(実際ただの趣味といった雰囲気があって、進路に反映させるほど強烈な熱意をもってゲームに臨んでいるようにはとても見えません)し、「人の感情が理解できればニムトでも勝てそう」という見積もり自体がかなり的外れっぽくも見えるし・・・という疑義が尽きませんでした。

 あと、先週第1話を読んで薄々そんな気がしつつ、今週第2話を読んで確信したことなんですが、この漫画、いわゆる『ドラゴン桜』的な要素といいますか、「実際に活用できるレベルの実践的な学習方法や受験テクニックを描く」ということは期待するだけ無駄のようですね。ヒロインたちがどんな課題につまずき、主人公はそれに対してどんな指導をするのかといった勉強の具体的な内容は特に描かず、なんとなく一緒に勉強してるシーンがあるだけ、キャラ描写のフレーバーとして雑な文系/理系あるあるネタを使いたいだけ、ということなんだと思います。個人的にはこの文型あるある理系あるある的なネタ自体がかなり嫌い(勉強嫌いの言い訳にしか聞こえない)なので、その点でも読んでてすごくモヤモヤするんですよね。これたぶん私はもう読まないほうがいい作品なんだろうと思います。

 

◇『歪のアマルガム』第17回「草葉の陰で髑髏は笑う」

 六道が完全虚化しちゃった・・・。黒水が引導を渡してくれるようですが、連載が長く続いていればもっと長い戦いの果てにこういうラストにする算段だったんだろうなというのがよく分かる結末ですよね(もしそうなっていたら間違いなく死ぬほど泣かされていた)。物語の最初に交わされた、六道にとってはものすごく困る内容だったはずの約束が、物語の最後に救いとして果たされるという完璧な構成です。この短さで終わってしまうのは本当にもったいないなと思います。

 『三ツ首コンドル』のときもそうでしたが、石山先生、打ち切りが決定して物語の全貌をざっと見せて締めにかかったときの面白さというか、物語全体の構成はめちゃめちゃ上手いと思うんですよね。序盤で読者を惹きつけてある程度連載を継続させてもらえれば間違いなく名作を残してくれると思うんですが、なかなか上手くはいかないようです。新連載陣が今のところかなりキツい印象なだけに、アマルガムの完結が余計にもったいなく思えてなりません。

 

 今週の感想は以上です。

 ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。

 それでは。