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Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。寄稿のご依頼などはhoahoahoashi@gmail.comまでどうぞ。

『週刊少年ジャンプ』2017年1号の感想/『ぎなた式』『花侍のサハラ』の宣伝

ジャンプ 感想

こんばんは。ほあしです。

今週のジャンプの感想です。

 

◆『僕のヒーローアカデミア』No.118「意味のない戦い」

 かっちゃんの懊悩、虚を突かれました。たしかに、かっちゃんの立場であれば、オールマイト失墜のきっかけを作ってしまったとして自責の念に駆られても不思議ではないんですよね。このあたりの心理については完全に見落としていました。もちろん一番悪いのはヴィランの連中であって、ただただ誘拐の被害者でしか無いかっちゃんには何の責任もないんですが、だからといってかっちゃんが自分自身の無力を許容できるということにはなりませんからね。そこにさらにデクに追い越されてしまったことへの焦燥が追い討ちをかけてきて、「どうすればいいかわからない」になってしまい、いまデクにそれらのモヤモヤをぶつけてしまってると。

 で、デクはこれを受け止めてやろうと覚悟を決めたわけですが、しかしデクとしては、これが「意味のない戦い」であることは承知した上であえて「受けてやってる」的なアレになってるんですよね。このすれ違いというか熱量の違いというか、そこがこの二人のあいだに流れている悲しさだよなと思います。「勝敗には意味がない=いまここで戦うことそれ自体にのみ意味がある」ということを意識したうえでの戦いって、基本的には本気になれないんですよね。勝ち負けにこだわる必要がない勝負とはすなわち「遊び」のことなので。つまりこの戦いって、かっちゃんにとっては「傷つけられたプライドとか自責の念とかデクへの焦燥感とかを全力でぶつけて何とか気持ちの整理をつけるための戦い」なのに、デクにとっては「自分はかっちゃんをここまで追い詰めてしまった原因の一つだから、かっちゃんの激情に整理がつくまでは付き合ってやらねばならない」くらいの動機しか本来はないはずなんですよ。それでもデクは「やるなら・・・全力だ」と宣言しています。では何がデクに「本気」を出させようとしているのかと言えば、「デクにとってはかっちゃんもまた目標のひとつだった」という点しかないと思うんですよね。普通なら適当にやり過ごすこともできるような経緯の戦いなのに、彼らの幼馴染としての絆ゆえにデクに火が付いたというのが個人的にはアツいなと思います。

 

◆『ハイキュー!!』第233話「最初の敵」

 最初の敵は椿原学園ではなく、これまで烏野が経験したことのない巨大な試合会場の方でした。で、なかでも今回は主に天井の高さによる遠近感の微妙な狂いに焦点を当てているんだなと思いながら私は最初読んだんですが、烏養コーチは「床と天井」が厄介そうだと言ってるんですよね。これって、「この後、天井とは別口で床の厄介さについても触れていくよ」ということなのか、「床面積の広さと天井の高さをあわせた"会場の巨大さ"が厄介だよ」という意味なのか、ちょっと判断しきれないんですよね。まあ床単体でなにか違和感などがあるならすでにそういう描写が一つくらい入っているでしょうから、たぶん後者なのかなと今は思っていますが。いずれにしても、この試合が始まってからの烏野メンバーの動きがいずれも精彩を欠いているのは間違いありません。

 で、それとは対照的に椿原学園が着々と点を重ねていることで、2年連続全国出場という成績の説得力が高まってますよね。影山の最初のサーブをアウトと見極めて得点したところからも、巨大な会場への慣れという点で確実にリードされていることが分かります。全国クラスの競合相手になかなか厳しいこの状況ですが、影山の「修正」は間に合うでしょうか。

 

◆『鬼滅の刃』第41話「胡蝶しのぶ」

 しのぶちゃん本当に最高すぎる・・・。なんか一含みありそうなキャラだなとは思っていましたが、ここまで頭のネジがカッ飛んだサイコ野郎だとは思いもしませんでした。拷問が得意のイカれた毒使いというのがすごくマユリ様っぽいなという印象もややあり(私の大好きなやつです)。しかもデザイン的にはめちゃめちゃカワイイというのが本当に最高です・・・事実上の「めちゃくちゃカワイイ涅マユリ」概念ですよこれ・・・。複眼モチーフのおかげでイマイチどこを見てるのかわからない感じの曖昧な目つきも妖しさを際立てていて本当に素敵です。

 というか今回、セリフ回しやコマ演出などにおいて特にBLEACHみが強い気がするんですよね。まあもちろん私が牽強付会BLEACHこじつけおじさんであることは大いに差し引いた上で聞いてほしいんですけども。今回しのぶが登場したシーンでは当然のように相手の背後を取りながら「わぁ凄いですね」なんて話しかけたりしてますけど、これとか本当に夜一みたいな振る舞い方だなとか。

 あとは最終ページのしのぶの長台詞とかが特に顕著だと思うんですが、この辺の決めゴマやセリフ回しの雰囲気がもうどうしようもなくBLEACHだなと。「すでに死んだ/戦闘不能になった相手に対して格好良く語りかける」みたいなやつ、BLEACHだと本当によくあるんですよね。ジャンプ編集部がたまにやってるツイキャスのなかで「五峠先生はBLEACHの影響を受けてる」的なことを担当編集者が明言していたらしいので、まあBLEACHフォロワーという部分は大いにあるんだろうなと思います。久保先生の映像演出力は本当に常軌を逸したレベルにあるので、この調子でどんどん技術を盗んで、ポストBLEACH的なポジションにどーんと座ってほしいなと思うわけです。

 あと、しのぶちゃんの刀、めちゃめちゃ格好良いですね。いかにも毒を仕込んでそうというか、もはや毒を打ち込むためだけにデザインしたって感じです。こういうハッタリの効いた武器デザインもまたBLEACHっぽい・・・(牽強付会BLEACHおじさんなのですぐそれを言う)。また、鬼殺隊の"柱"が「◯柱」という呼ばれ方をしているらしいことも分かりました。この例に従って考えると、冨岡義勇は「水柱」ということになるのでしょうね。これ、呼吸の種類だけ新しいキャラを無限に追加できるものすごく便利な肩書だなと思います。作者としては、下手に数字とかを使うよりはよっぽど扱いやすいだろうなと。

 

◆『火ノ丸相撲』第124番「命を懸けて・・・!」

 バトくん、相変わらず礼儀を知らんやつではありますが、佑真が見せた命懸けの気迫に対して、国宝級の闘気をみなぎらせて本気で応えてくれてるのがすごく嬉しいですね。彼、「こっちは人生を懸けて真剣に相撲やってるのに遊びで相撲やってるやつが気に入らない」というキャラなので、どういう理由であれ「遊びではない」ということを感じさえすればきちんと向き合ってくれるんでしょうね。実際、彼が天王寺に惚れ込んだのも「遊びではなく本気で横綱を目指している(だからこそ容赦なく自分の肩を外しすらした)」という、天王寺の「本気」に触れたからですし。

 実際の取組としては、「相撲の突き」と「空手の突き」によるどつき合いで幕を開けました。展開予想についてはやっても不毛なので止めておきますが、気になるのはレイナの「佑真が思ってるより佑真は強いよ」というモノローグですよね。本人は自覚していないけど、妹であるレイナは気づいている佑真の強みみたいなものがあるのかもしれません。まあレイナは相撲の技術的なことはあまり分からないはずですから、たぶん"心"についての話だと思うんですが。このあたり、「覆水を盆に返す」という話にも絡んできそうで楽しみです。

 

◆『左門くんはサモナー』第60話「左門くんは変態」

 作家vs担当編集によるプロレス回ですね。人気投票前の放言が招いた舌禍としかいいようのないトンガリネタだったわけですが、プロレスに絡めることで上手いこと収拾したのではと思います。しかし、シャワーシーン描けとかマジで言われてるんですかね? まあ今週の沼先生の目次コメントに「今回のネームを見た担当さんから『俺への恨みが出すぎ』みたいに言われた」とあったり、本誌404ページの余白部分に「シャワーシーン描くのを渋る沼駿先生にFLを!」と書いてあったりするので、おそらく担当さんとしても心当たりがあることなんだろうなという想像はつきますが。まあ沼先生、その気になれば非常に肉感的でドスケベな絵を描くことはいくらでも可能な(pixivにはそういうイラストを実際にアップしてる)人なので、そういう期待を寄せられるのも分からんではないですが、果たしてそれが『左門くん』で求められているものなのかというと甚だ疑問ですよね。エロ枠は『ゆらぎ荘』で間に合ってますし(しかも乳首券つき)。普通にコメディで十分やれると思いますよこの作品は。

 

 というわけで、今週のジャンプの感想は以上なんです

 以下、ちょっとだけ、ある漫画単行本の宣伝をします。

 『ぎなた式』『花侍のサハラ』という二つの作品です。 

ぎなた式 (ジャンプコミックス)

ぎなた式 (ジャンプコミックス)

 

 

花侍のサハラ (ジャンプコミックス)

花侍のサハラ (ジャンプコミックス)

 

 

 この二作品、いずれもジャンプ作品です。今年の8月から『ジャンプGIGA』という増刊が4ヶ月連続で刊行されてまして、その誌面上で全4回の短期連載作品として描かれたものです。『ぎなた式』は、以前ジャンプ本誌で『改造人間ロギイ』を連載していた三木有先生の、『花侍のサハラ』は、同じく『ヨアケモノ』を連載していた芝田優作先生の作品です。ロギイもヨアケモノもまあ典型的な打ち切りマンガだったわけですが、それらの作家が凄まじい実力を身に付けて帰ってきたのだということを"""理解(わか)らせる"""には十分すぎるほどの素晴らしい作品なんです。

 で、何が言いたいかというと、この作品を一人でも多くの人に読んでもらいたいんです。三木先生と芝田先生、個人的にものすごく好きなので。いま述べた通り、4ヶ月連続刊行の増刊で連載された全4話の作品なので、両作品ともこの巻のみで完結します。価格も普通のジャンプコミックスと同じ400円+税。漫画読みなら誤差の範囲で済ませられるくらいの、ごく小さな出費だと思います。

 「でも内容もよく分からんのにいきなり購入はハードル高いっすわ、そもそも打ち切り作家の作品なんだからどうせ大したことないでしょ」というそこのあなた。安心してください、「ジャンプ+」で第1話の試し読みができますよ。

ぎなた式

花侍のサハラ

 とにかく、第1話を読んでもらえれば分かります。特に『ぎなた式』については、スポーツものの導入としてはもう"完璧"と言わざるを得ないほどに完成度が高い。少なくとも「打ち切り作家だから大したことない」みたいな先入観は完全粉砕されることと思います。そして、第1話を読んで「お、いいな」と思ってくれた人は、騙されたと思って単行本を買ってみてください。最低でもそのお値段分程度の価値くらいは間違いなくあるということを保証します。なにとぞよろしくお願いします。

 

 というわけで、ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。

 それでは。