Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。

『BLEACH』第663話「GOD OF THUNDER 4」の感想・考察

こんばんは。ほあしです。

今週のBLEACHの感想です。

 

BLEACH』第663話「GOD OF THUNDER 4」

 先週の続きからですね。浦原によれば、雷状の霊圧を纏った半獣と化すこの形態は、「瞬閧雷獣戦形『瞬霳黒猫戦姫(しゅんりゅうこくびょうせんき)』」という名のようです。やはり妖怪の「雷獣」がモチーフにあるようですね。

 ここに出てくる「霳」という字(「あめかんむり」+「隆」)なんですが、「霻」という字(「あめかんむり」+「豊」)と合わせた「霻霳(ほうりょう)」の一語でいわゆる雷神のことを表すらしいんですね。たとえば岩手県一関市には「豊隆神社」という名前で八雷神(やくさのいかづちのかみ)を祀っている神社があるのですが、その社名の本来の表記は「あめかんむり」を加えた「霻霳」なのだそうです。雷神戦形の進化形として相応しい名前だと思います。

豊隆神社

 

 で、この状態の夜一は言葉が通じないようですから、身のこなしどころか知性まで獣並みになってしまうようです。そりゃ夜一本人が使用を嫌がるのも納得ですよね。戦意の有無すら猫のごとく気まぐれに変わるとなると、それはつまり自分の命をただの猫に預けるのと同義です。正気に戻るまできちんと戦い続けて生き残ってくれるかがまず怪しいところですから、よほどのバカでない限り、いまみたいな命懸けの状況では絶対に使う気になれないと思います。浦原のようなサポーターの手助けがあって初めてまともに運用できる戦法なのでしょう。

 ただ、今回のポイントは「霊圧の質が別人のように変化し続けること」にあります。浦原もインフルエンザウイルスに例えていますが、ナックルヴァールがまだ免疫を作っていない霊圧による攻撃は普通に通ってしまうわけで、しかも夜一の霊圧は1秒間に48回変化を繰り返すそうですから、事実上全ての攻撃が「免疫未獲得」になってしまうんですよね。免疫を作っても作っても全く追いつかないわけですから、ほぼ無防備状態になったと言えます。攻撃を受けるたびにナックルヴァールが見せる焦りの表情が堪らなくカッコいいです。本当に表情豊かですよね。

 ただ、こうなると気になってくるのが先週の冒頭のくだりなんですよね。頭上から降ってくる瓦礫を一切躱さなかったナックルヴァールのあの態度です。霊圧の質さえ変わってしまえば攻撃が通るということは、夜一や夕四郎以外の霊圧による攻撃は普通に通用したはずなんです。にもかかわらずナックルヴァールは、夜一らとは何の関係もなく降り注いできたあの瓦礫を避けなかった。瓦礫そのものへの「免疫」など持っていたとは思えません(というか意味が分かりません)から、あれはただ単に彼の幸運のなせるところというか、「死から遠退いてる実感」を得るためだけにやったものだということになるでしょうか。ナックルヴァール、やはりかなりの大物なのでは…。

 

 特大の雷でナックルヴァールを打ち据え吹き飛ばしたあとの夜一、完全にただのネコですね。しかもめちゃくちゃ人懐っこいタイプのやつです。これは「ヨルマタ(おそらくは夜一専用のマタタビ的なもの)」の効能によるところも多少はあるのでしょうが。夜一が『瞬霳黒猫戦姫』を嫌がる理由のひとつにはこの「浦原に甘えまくってしまうから」というのがあるんでしょうね。「あんな中途半端な気色悪い姿」と夜一本人が言っていたことから、夜一が正気に戻った後もこの姿での記憶は多かれ少なかれ残っているものと考えられますから、こうしたぺろぺろ行為の記憶も夜一にはあるのでしょう。ちょっと死ぬほど恥ずかしいやつですし浦原がマジで羨ましいやつですね。この現場を砕蜂に見られたりしたら大変なことになりそうでもありますが。

 あと夜一、まさかとは思っていましたが本当に全裸でしたね。おっぱいを放り出して、黒ニーハイのような履物もいつの間にか消えてしまったようです(雷状の霊圧で灼き切れたのかもしれません)から、本当に完全な全裸です。まあそもそも〈尸魂界篇〉で夜一が初めて変身を解いたときも全裸でしたから、むしろ全裸にならなければ整合が取れないと言えるかもしれません。整合性バンザイ。

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(久保帯人BLEACH』14巻29頁)

 

 夜一に投与した免疫剤が切れ始め、浦原が最後のとどめを刺しに行こうとしたところへ、ナックルヴァールの「極上毒入りボール(ギフト・バル・デラックス)」が現れます。広範囲の地形をまるまる飲み込む規模の攻撃ですから、咄嗟の回避などはちょっと出来そうにありませんね。しかもこれ、規模的には地形攻撃そのものですが名前はあくまでも毒入り「ボール」なので、たぶんまともに喰らうと死ぬやつなんですよね。広範囲に及ぶ攻撃であることから、一護たちが喰らわされた麻痺程度ですむほうのやつを思い起こすかもしれませんが、あれは毒入り「プール」という名前でした。浦原&夜一、かなりピンチかもしれません。

 そして現れたナックルヴァールの完聖体『神の毒見(ハスハイン)』「冴えねェ名前だろ?」とナックルヴァールは卑下していますが、あまり露骨に天使っぽくなくてむしろ小洒落た感じの名前だなと個人的には思います。彼の独特の形状をした神聖弓をそのまま纏ったような姿です。背から生える翼には、どこか球体関節人形めいた人工生物的イメージを感じます。顔の上半分をまるまる覆うようなデザインのバイザーや腰回りに浮遊するリング状の構造物なども併せて見てみると、どこか近未来的な雰囲気というか、有り体に言ってしまうと宇宙人っぽいノリを感じてしまいます。頭上の光輪に「輪」の部分が無く完全な「星」型になっているのも面白いです。

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久保帯人BLEACH』67巻13頁)

 とはいえ、リジェ戦を思い返せば、彼の完聖体がこのデザインだけで完結してしまうとも思えません。リジェのように何度も姿形を変えまくってどんどん人間から離れていく展開は今回も大いにありえますから、そのへんも期待しておきましょう。個人的には、最終的にエジプト神話ネタへ収束してくれると予想的中で嬉しくはあるんですが。

 

 あと、『ジャンプ流!』の久保先生特集号がめでたく発売されましたが、みなさんご購入はお済みですか。まだですか。早く買いましょうね。

ジャンプ流!DVD付分冊マンガ講座(4) 2016年 3/3 号 [雑誌]
 

 付属DVDの映像は特に必見ですよ。先日発売された公式ファンブック『13BLADEs.』表紙の下書きから彩色までをほぼ全部見せてくれてます。完成した製品では色調にエフェクトがかかっているため久保先生が本来施した彩色は見られなかったんですが、今回の映像には彩色の状況そのものが収められているので、完成版の彩色ももちろん見られます。個人的には、砕蜂の肌の色がすごく綺麗で柔らかそうな色合いだったのでちょっとヤバかったです。早く買いましょうね。

 

 あと、「BLEACH×パズドラ」コラボイベントがいよいよ始まりましたね。

 3月6日いっぱいまで開催しているので、この機会にぜひ。今回は〈尸魂界篇〉までの内容ですが、コラボ第二弾、第三弾と今後も続いていく可能性は非常に大きいと思いますので、好きなキャラがまだ出ていない人もいまのうちに始めておくと良いかもしれません。いまのうちに頑張って一護を引き当てておきましょう。私も(可能な範囲で)頑張ります。

 

 今週の感想は以上です。

 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

 それでは。