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Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。寄稿のご依頼などはhoahoahoashi@gmail.comまでどうぞ。

『BLEACH』第646話「The Second Eye」の感想・考察

こんばんは。ほあしです。

今週のBLEACHの感想です。

 

BLEACH』第646話「The Second Eye」

 平子たちに追いついた七緒が、京楽からの言付けを伝えています。雛森は加勢に行くよう言いますが、平子はやはり言付けのとおり先行するつもりのようです。ユーハバッハの打倒を最終目的とするのであれば、道中の親衛隊との戦闘に割く人員は最小限に抑えたいですから、これは当然ですよね。「浮竹がここにおったらどう言うたと思う?」という問いかけもそうですが、京楽の力を信用しているからこそ彼一人に任せようとしている、とも言えそうです。

 また、「残ったんが元柳斎のジイさんでも やっぱり先行け言うたやろな」という平子の言葉は、京楽が聞くとすごく喜びそうですよね。総隊長として、そしてなによりも元柳斎の教え子として、いまの京楽が元柳斎のことを意識していないとは思えません。元柳斎の後継者としてこうした評価を得たというのは、京楽にとってはかなり嬉しいことなのではないかと思います。これを聞いた七緒が目を伏せているのも、そういった感慨があるからなのかもしれませんね。

 

 今週のタイトルは「The Second Eye」です。直訳すれば「第二の目」。いかにも「なにかあります」という雰囲気を醸し出しまくってきたリジェの左眼のことですね。左眼の周囲に刻まれた紋様はアルファベットの”X”を円で囲んだもののように見えますが、かつて雨竜が用いていた「滅却十字」の代用品にも似ていますね(雨竜は後に竜弦から「滅却十字」を譲り受けます)。リジェが完聖体を行使する瞬間の描写を見ると、そちらの意味合いのほうが大きいのかもしれません。あの紋様が「星十字」ではなく普通の十字であるうちは本来の力が発揮されていない、というような感じで。

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久保帯人BLEACH』4巻185頁)

 

 やはりリジェの銃『ディアグラム』は霊子兵装だったんですね。この名前、おそらくはいわゆる「ダイアグラム」を指す”diagram”という語から来ているのだと思います。日本語環境におけるこの言葉はどうしても鉄道のダイヤを連想させますが、本来この言葉は、「情報を2次元幾何学モデルで表した表現」を全般的に指すものです。いわゆる関数グラフなどは「ダイアグラム」の典型例ですから、『万物貫通(イクサクシス)』=X-axis=「X軸」の能力を持つ彼の武器としてふさわしい名前だと思います。物理世界の次元を貫く一本の線(X軸)を、彼はこの銃で描くのですから。

 「影送り」による無数の幻影を前にして呆然とするリジェを、京楽は刺し貫きます。普通の相手ならこれで戦いは終わりなんですよね。ところが、リジェの『万物貫通』は、彼自身の肉体も含めてその能力の範疇にあったんですね。両眼を開くことで彼の肉体もまた万物を貫通できるようになるため、一切の攻撃が意味をなさなくなると。たしかに「万物」というのであれば、彼自身がその対象になっているのも道理だと思います。例外があるのでは「万物」とは言えないでしょうから。

 

 ここでリジェは死神のことを「罪人共」と呼んでいますね。これと似たようなことを言っていたのがキルゲでした。

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久保帯人BLEACH』56巻35頁)

 キルゲは死神のことを「悪虐の輩」と呼び、自分を含む滅却師の軍勢のことを「聖なる執行者」と呼んでいます。自分たちは神の使徒であり、死神はそれに抗う悪魔である、という信念が強く窺えますよね。リジェの「罪人共」という蔑みの言葉からも同じような信念が見て取れます。また、「陛下の最高傑作」「神に最も近い男」 というリジェの自意識のありようからは、「ユーハバッハ陛下こそがこの世の神である」とリジェが固く信じているらしいこともわかりますね。「眼」が能力発動のキーになっているという点も、「すべてを見通す神の眼」を持っているユーハバッハに通ずるところがあります。この点については、以前から繰り返しお話ししている通りです。

 リジェのこの過剰なまでの自尊心というか、「自分こそが最も神に愛されている存在である」とでもいうような信念は、「ヨハネ福音書」のなかで「イエスの愛しておられた弟子」「愛する弟子」と呼ばれる使徒ヨハネを思わせるものがあります。涅の改造卍解として登場した「マタイ福音書」といい、やはり徹底してキリスト教神話と関連させた作劇をしているように見えます。

 

 開眼したリジェの完聖体『神の裁き(ジリエル)』。これまでに披露されてきた完聖体とはかなり雰囲気が違いますね。4対8枚の翼と無数の孔を持つ姿で、全体のシルエットとしては人間の容姿をほぼ失っています。仮にこの孔を「眼」に見立ててみると、高い位階にある天使(いわゆる熾天使智天使など)の姿の典型としてみることができそうです。複数の翼と眼を持ち、人間からはおよそかけ離れた(ときには怪物そのもののような)姿をしているとされるものです。

 天使は主に二つの類に分かれる。第一は「み使い」と呼ばれる天使である。第二は、セラフィム熾天使)、ケルビム(智天使)、オファニム(座天使)がそうであるが、多数の眼を持ち、多数の翼等を持った姿の天使である。これらは一般的な天使のイメージとはほど遠い怪物的なイメージで表現されている。

天使 - Wikipediaより引用)

 リジェがユーハバッハの親衛隊の一員である(=その他の『星十字騎士団』とは一線を画した立場にある)ことを踏まえると、彼がこのように高位の天使を模した姿になっていることにも頷けますね。事実としてほかの天使(=星十字騎士団)たちよりも高い立場にあるのですから、それに見合った姿になって当然です。

 

 リジェの完聖体によるものか、京楽は身動きが取れなくなったようです。そこをリジェに『貫通』されて今週は幕です。リジェの翼に空いている孔の全てが彼の「銃口」にあたるのだとすれば、最低でも24方向を一度に『貫通』できるという無茶苦茶な能力だということになりますね(しかも相手の動きを止める手段まで持っているようです)。京楽には「影送り」がありますから攻撃の回避くらいならできるかもしれませんが、そもそもいまのリジェは全てを貫通することでどんな武器も通じなくなってしまっているわけですから、これに勝てる人はいるんでしょうか…。ちょっと思いつきません。『花天狂骨』の卍解が出てくるのか、また別の加勢が入るのか。次回を楽しみにしておきましょう。

 

 今週の感想は以上です。

 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

 それでは。