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Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。寄稿のご依頼などはhoahoahoashi@gmail.comまでどうぞ。

BLEACH第645話「Don't Chase a Shadow」の感想・考察

こんばんは。ほあしです。

今週のBLEACHの感想です。

 

BLEACH第645話「Don't Chase a Shadow」

 言われてみれば、京楽がリジェの背後へ瞬間移動していること自体が不可解な話なんですよね。真っ当に移動したにしてはさすがに距離がありすぎます。あの瞬間移動も「だるまさんがころんだ」のルールに従ったものだったんですね。

 今週のタイトルは「Don't Chase a Shadow」です。直訳すれば「影を追うな」でしょうか。霊圧知覚の鋭敏さを利用した幻影や、「影送り」によって生み出された幻影など、偽物の影を追いかけてはいけないよという話に焦点を当てたタイトルですね。影を用いて戦う『見えざる帝国』の滅却師に対する強烈な皮肉にもなりうるフレーズですね。

 先に行くようにという京楽の言付けを預かって立ち去る七緒ですが、たしかに言動のキツさがすごくリサっぽくなっていますね…。いままでも、京楽に対してはそれなりに辛辣な言動をしてきた(そうされても仕方がないような言動をまず京楽自身がしているのですが)彼女でしたが、なんというか、今週のようなやや乱暴な物言いというのはいままで無かったように思います(『カラブリ』などではわりとエグい言動をとったりもしていましたが、あれはいわゆる「ギャグ時空」でのことなので…)。七緒が子供だった頃はリサによく懐いていたようですから、やはりどこかで相通ずるところがあるのかもしれませんね。

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久保帯人BLEACH』36巻179頁)

 

 京楽が「だるまさんがころんだ」のルールを教えてやったときにリジェが言っている「チョコラテ・イングレス(Chocolate Inglés)」とは、スペイン語圏における「だるまさんがころんだ」と同様の遊びの名称で、直訳すると「イギリスのチョコレート」という意味のようです(詳細はだるまさんがころんだ - Wikipedia内の「他国での類似の遊び」の項をご参照ください)。”Lille”と書いて「リジェ」と読むような発音の様式(”L”を二つ重ねた子音を「ジャ行」音として発音している)から見ても、リジェはスペイン語圏の生まれであると考えられそうです。『見えざる帝国』の面々が国際色豊かなのは今に始まったことではありませんが、これほど明確に「スペイン系」とわかる人物となると、私はどうしても虚との関連を考えたくなってしまいます。もちろん間違いなく関連があるとは言いきれませんし、あるにしてもどの程度のものかは全く分かりませんが。

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久保帯人BLEACH』66巻140頁)

 

 「お互いがルールを知ってからが”遊び”だろ?」という京楽の言葉は、個人的には剣八を想起してしまいます。戦いを”遊び”と言いきってしまうこの態度は、戦うことそのものを”暇潰し”として楽しもうとする剣八のそれにきわめて近いように思えます。

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久保帯人BLEACH』12巻116頁)

 「戦闘に集中すればするほど…(中略)…”目”ではものを見なくなる」という京楽の話にしても、〈尸魂界篇〉における剣八東仙の戦いを思わせるものがありますね。あの戦いでは剣八は「霊圧知覚」をも奪われていたので、唯一残った触覚のみで東仙の居場所を探り当てたわけですが、「視覚に頼らない戦い方を要する」という意味で、今回の戦闘と大きな共通点があるように思います。先週リジェが言っていた「戦いにまつわる恐怖」と絡めて考えることも可能でしょう。

 

 また、ここで京楽が言った「霊圧そのものを見る」という描写は、実は以前にもあったものなんですよね。

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久保帯人BLEACH』51巻186頁)

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久保帯人BLEACH』52巻19,23,35頁)

 一護の完現術を完成させるための修行中、銀城によって眼球を破壊された一護が、暗闇のなかで銀城の霊圧を視認するシーンです。この現象は、死神能力を失っていた一護が力を取り戻し始めた兆候として描かれていました。周囲の霊子を操作して戦う滅却師もまた鋭敏な霊圧知覚を持っているでしょうから、こうした騙し打ちに引っかかってしまうのですね。それをやるのが護廷十三隊総隊長ほどの者であれば、なおのこと。

 

 京楽が唐突に仕掛けます。それに応じて銃を向けるリジェですが、銃身を破壊されても問題なく撃てるんですね。まああの銃はあくまでも霊子兵装の一環でしょうから、銃の形をしているのも本人の気持ちの問題以上の理由はないのかもしれません。

 リジェが京楽の幻影に惑わされず背後にいる本物を撃った、と思いきやそれも幻影で、本物の京楽は”影鬼”による不意討ちを仕掛けるがリジェはこれを躱し、振り向きざまに足を撃って機動力を削いだところへ止めの一撃を放った、と思ったらそれは”影送り”による残像だった……という感じの動きで、結果としてはどちらも負傷なしではあるんですが、明らかに戦いのペースは京楽が握っていますね。

 京楽本人も言っていることですが、『花天狂骨』の真の恐ろしさは、「いつ・何の遊びが始まるのか見当もつかない所」にあるんですよね。リジェは、いままでの戦いで京楽が見せてきた”遊び”のルールについては知っているようですし、「だるまさんがころんだ」のルールについてもすでに把握しています。にも関わらず彼がここまで翻弄されているのは、偏に「いつ・何の遊びが始まるか(=ルール変更のタイミングとその内容)を予期できないから」でしょう。これはつまり、「『花天狂骨』の持ち主である(=ルール変更の内容とタイミングについては敵よりも先に知ることができる)」という事実そのものが京楽の優位性を担保しているわけですよね。リジェは「僕にルールを教えたのはミスだったろう」と言っていましたが、個別の遊びのルールを把握できたとしても、そのルール自体が戦闘中に目まぐるしく変化してしまうのであれば何の役にも立ちません。京楽が相手に律儀にも”遊び”のルールを教えてやるのは、この絶対的な優位性があるからだろうと思います。

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久保帯人BLEACH』43巻132頁)

 

 今週の感想は以上です。

 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

 それでは。