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Black and White

『BLEACH』を愛して止まない男・ほあしが漫画の話をします。当ブログに掲載されている記事の無断転載を固く禁じます。寄稿のご依頼などはhoahoahoashi@gmail.comまでどうぞ。

『BLEACH』第637話「BABY,HOLD YOUR HAND」の感想・考察

こんにちは。ほあしです。

今週の『BLEACH』の感想です。

 

BLEACH』第637話「BABY,HOLD YOUR HAND」

 『疋殺地蔵』の麻痺能力は、涅による「改良」の賜物だったようですね。涅は自分の斬魄刀に対して幾度となく「改良」「改造」を重ねているようですから、新たな能力を付加していたとしても不思議はありません。むしろ『疋殺地蔵』の能力のうちどこからどこまでが本来のものだったのかというのが気になってきますね。

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久保帯人BLEACH』34巻207~208頁)

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久保帯人BLEACH』58巻118頁)

 

 涅が剣八を単騎で突撃させたのは、やはりある程度意図的なものだったんですね。ペルニダをじっくり観察するために剣八を大人しくさせたかったという身も蓋もない理由が大きいようです。ただ、ネムだけは涅の振舞いに何らかの懸念を覚えているようですね。「涅が相変わらずであるよう願う」ということは、「必ずしもいつも通りの状態ではないかもしれない」と言っているようなものです。何をもってネムがこのような懸念を抱いているのかは分かりませんが、たしかに今週の涅はテンションがやや高すぎるというか、少し冷静さを欠いているように見えなくもありません。知的好奇心を多少なりともそそられる(たとえばザエルアポロのような)相手に出会ったときの涅はたしかに興奮を隠そうともしませんが、今回はそれが少し前面に出すぎているようにも見えます。もしかしたら、このいきすぎた興奮ゆえに涅が足を掬われるという貴重な展開が見られるかもしれませんね。

 

 今週のタイトルは「BABY,HOLD YOUR HAND」です。和訳すると「いい子だ、手を繋ごう」くらいの意味でしょうか。「霊王の左腕」であるペルニダに対して、「実験者と被験者」という敬意ある関係を提案する涅の心情を端的に表現したものでしょう。「手を繋ぐ」という言い回しになっているのは、もちろん「相手が腕だから」です。タイトルのすぐ下のコマに描かれた涅が手を差し出すように描かれているのも、このタイトルを踏まえてのことでしょう。そしてこの提案って、〈尸魂界篇〉で涅が織姫に対して行なったものときわめてよく似ているんですよね。興味のある対象に実験体としての「協力」を要請するというのは、彼の一貫した信念のようです。

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久保帯人BLEACH』14巻149頁)

 それにしても、織姫の『盾舜六花』といいザエルアポロの『受胎告知(ガブリエール)』といい「不死」のジジといい「霊王の左腕」といい、やはり涅は「神」に匹敵するようなものと相対する運命にあるとしか思えません。生粋の科学者として「神を否定する者」という役回りを与えられているらしいという見立ては、それなりに有効なように思えます。

『BLEACH』第623話「Against the Judgement」の感想・考察 - Black and White

 

 涅の無茶苦茶な提案に対して怒ったのでしょうか。ペルニダは外套を破って正体を現します。掌に単眼を持つ異形、「霊王の左腕」そのものです。これ、個人的には大変驚きましたが、これまでの描写を踏まえるとたしかに「なるほど」という感じもするんですよね。ペルニダの頭部(があるようにみえる部分)が膨らんだり縮んだりしていたのは、手指の握り具合が変わっていたからでしょうし、ユーハバッハが「ミミハギ様」の行動に疑問を呈していたのも、彼があの時点ですでに「霊王の左腕」を掌握していて、「霊王は自分の味方につけることができる」という確信を持っていたからこそだと考えられます。

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久保帯人BLEACH』68巻102,175頁)

 ただ、ひとつ疑問の残るところがあって、ペルニダは最初に登場したとき、左腕をチラッと見せたことがあったんですよね。たった一コマですが、たしかに自前の腕を外套の下から伸ばしているシーンがあるんです。

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久保帯人BLEACH』66巻147頁)

 今週のペルニダを見た限りではこういう小さな腕が横から生えているようには見えないんですが、この小さな腕についても、現状分かっている情報だけを使って一応説明を付けられないこともないんですよね。

 というのも、これまでの描写を見る限り、ペルニダは自前の神経や筋肉の細胞組織を任意に増大させられるらしいというのは明らかですよね。神経を剥き出しにして直接相手に触れたり、今週のように元の何倍もの大きさに膨れ上がったりということができているわけですから、これは可能と断言してよいでしょう。

 ということは、神経や筋肉の組織をまるで「人間の腕」のような形状に整えて増大させることによって、任意の場所からニョキッっと「生やす」というようなこともまた不可能ではないだろうと思うんです。「一本の大きな腕から小さな腕が生えている」というような状態です。「霊王の左腕」であれば、こういう感じの無茶苦茶も可能なのではないかなと思うわけです。実際のところどうなのかは分かりませんが、可能性の一つとして想定しておいてもよいのではないかと思います。

 

 ペルニダが「霊王の左腕」であると確信した涅ですが、「何故霊王の左腕がユーハバッハの下に居るのか」という疑問については答えが出ないようです。これは霊王というシステムが誕生した経緯まで含めて知悉していなければ分からないことでしょうから仕方のないことですね。ユーハバッハ曰く、霊王は「創られた」ものであるらしいので、その経緯が明らかになればこの疑問にも自ずと答えが出ることでしょう。

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久保帯人BLEACH』68巻70頁)

 

 涅に反応して言語による応答まで見せるペルニダに対して、涅の興味はどんどん高まっているように見えます。「見た事もない観察対象がこちらの予想を次々と超えてくる」という事実が涅にとっては何よりも喜ばしいんですね。『受胎告知(ガブリエール)』以上のものを見せてくれなかったザエルアポロに対して即座に興味を失ったのとは全く対照的な反応と言えそうです。まことに学者的な性分というか、やはり知的好奇心こそが彼の行動原理なんですね。

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久保帯人BLEACH』34巻202~203,208頁)

 涅はペルニダに対して「霊王の左腕」と呼びかけています(彼は「ペルニダ」という名前を知らないのですから当然です)が、ペルニダはこれを「ナマエ…チガウ…」と言って否定していますね。おそらく来週あたりにはペルニダの正体について詳しく明かされるのでしょうが、この「霊王の左腕」が「ペルニダ」という名の人物としての自意識を強く持っているらしいというのは非常に興味深いです。

 この「ペルニダ」という自意識はどのような経緯で生まれたのでしょうね。もともと霊王の左腕に宿っていた霊王の「意思」のようなものをユーハバッハが何らかの方法で手懐けるなり洗脳するなりして「ペルニダ」という名前の人格として仕立て上げたのかもしれませんし、あるいは「ペルニダ」という名前の滅却師がかつて存在していて、その人物の魂魄が霊王の左腕に宿されたというようなことかもしれません。先に挙げた「霊王の敵は死神達なのだ」というハッシュヴァルトの確信めいた言葉を踏まえれば、霊王の肉体が自らの意志でユーハバッハの麾下に加わり、「ペルニダ」という名をすすんで名乗るようになったという線も十分にあり得るでしょう。いよいよ物語の真相に近づいている感があって、次回が非常に楽しみです。

 

 今週の感想は以上です。

 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

 それでは。